NASA、アマゾン、グーグルなどが商業化を進めるドローン(小型無人機)。国内では悪役のイメージを持たれることも多いが、実は新ビジネスへの機運も高まっている。今回、ドローンを使って高齢者支援に乗り出そうと奮闘する女性経営者に迫った。

育児休暇中も仕事を続けたい

MIKAWAYA21 社長 鯉渕美穂氏

【田原】その次はどんな会社ですか?

【鯉渕】せっかくなら経営に近いところで勉強をしたいと思い、人材系のコンサルティングをやっているベンチャー企業に転職しました。

【田原】その会社で、シンガポールに赴任したそうですね。向こうでは何をやっていたのですか。

【鯉渕】教育研修事業の立ち上げです。日本の方をシンガポールに呼んだり、現地法人に勤める外国人マネジャーやスタッフを育成するプログラムを提供していました。

【田原】海外で単身赴任ですよね。夫は、よくオーケーを出しましたね。

【鯉渕】最初はMBA取得も視野に入れて会社に休職の相談をしたところ、「MBAもいいけど、シンガポールで実際に支社立ち上げをしたほうが良い経験になるのでは」と逆提案を受けました。主人にも「実際に経験を積めるなら応援するよ」と背中を押してもらい、シンガポール赴任が決まりました。

【田原】何年いらしたんですか。

【鯉渕】1年と2カ月です。

【田原】資料を拝見すると、日本とシンガポールを月に何度も往復する生活だったようですね。

【鯉渕】私が赴任した翌月に父が倒れてしまい、予断を許さない状況が2~3カ月続いたんです。最初は日本に戻ることも考えましたが、こんなチャンスは二度とないと考え、留まることにしました。とはいえ、やはり父が心配で、せめて週末だけでもと、金曜日の深夜便でシンガポールを発ち、土日を病院で過ごして、日曜日の夜11時に日本を発つという生活をしばらく続けていました。