【田原】よく体力が持ちましたね。
【鯉渕】学生時代の体育会系サークル活動のおかげか、あまり寝なくても平気なタイプでしたから。幸い父も3カ月くらいで危険な状態を脱して、仕事に集中できるようになりました。
【田原】よかったですね。さて、シンガポールから戻られて、いよいよ現在の会社に転職された。どのような経緯だったのですか。
【鯉渕】じつは帰国後しばらくして子供を授かりまして。仕事も含めた自分の人生を考えていたので、一時的とはいえ、育児休暇で仕事がゼロになることに疑問を持っていました。
【田原】育児休暇を取ると、キャリアが中断するんですよね。日本の女性の労働参加率は20代と40代が高く、30代が一時的に落ち込むM字カーブになっています。しかもパートで復帰する女性が多く、前と同じキャリアを続けられる女性は少ない。
【鯉渕】私は育休中も柔軟な形で仕事を続けたいと思っていました。たとえば家で育児をしながらスカイプで会議に参加することだってできるじゃないですか。でも、それを会社に相談しても制度上すぐに対応できる環境ではありませんでした。どうしようかと悩んでいるときに、シンガポール時代に知り合った経営者から「こういう会社があるんだけど経営してみない?」と紹介されたのがいまの会社です。もともと経営に興味があったし、自分が経営者になれば時間に縛られない新しい働き方もできる。ぜひチャレンジしてみたいと思い、引き受けることにしました。
【田原】組織のなかでも仕組みをつくる側に回ればいいと考えたわけだ。じゃあ、いまは育児をしながら経営もしていらっしゃる?
【鯉渕】はい。子供をオフィスに連れていくこともあるし、今日みたいに人とお会いするときは保育園や母親にあずけたりもします。そこはかなり柔軟にやっています。