「我慢できる」4歳児は、頭のいい10代になる

▼マシュマロ実験が示すもの。幼児期の「自制心」は人生の成功につながる

この話をブログに書いたら、知人が「マシュマロ実験」のようだと、教えてくれました。

マシュマロ実験とは、1970年に初めて行われた、子ども相手のちょっとイジワルな実験です。

・対象:4歳前後の保育園児 32名(後に数百人)
・内容:「マシュマロ *8をひとつあげる。でももし15分食べずにガマンできたら、もうひとつあげる」と言って、子どもの前にマシュマロを置いて、部屋に1人で残す
・結果:ひとりになった瞬間マシュマロを食べる子もいたが、多くの子は誘惑に抵抗した。しかし15分ガマンして2個ゲットできたのは全体の1/3の子どもだけだった

実験を行ったスタンフォード大学の心理学者 ウォルター・ミシェル(Walter Mischel、1930~)は、これを「自制心 *9」の差と解釈しました。

面白いのはここからです。18年後の1988年、追跡調査が行われ、意外な結果が報告されました。「幼児期にマシュマロを何分ガマンできたか」と「青年期に親から見て有能かどうか」には強い相関があったのです。

1990年の調査では、さらに、「SAT(大学進学適性試験)とも強い相関がある」ことがわかりました。マシュマロを長く待てた子は、待てなかった子よりも210点(2400点満点)も、点が高かったのです。

一方、幼児期のIQの高低と、SATの点数にはあまり相関がなく、「将来のSATの点数には、幼児期のIQのより自制心の方が遥かに影響する」と結論づけられました。


*8 マシュマロ、オレオクッキー、プリッツの中から好きな物を子どもに選ばせた。
*9 自制心とは「将来のより大きな成果のために、自己の衝動や感情をコントロールし、目先の欲求を辛抱する能力」とされる。