子どもの「スマホ依存」とは
ネットやスマホを便利に使っているうちはあまり問題ないが、それにふりまわされ、一種の中毒に近い依存状態になると黄信号である。まだ判断力の乏しい子どもの場合、すでに赤信号も灯っている。
総務省情報通信政策研究所が2013年6月に発表した「青少年のインターネット利用と依存傾向に関する調査」によれば、ネット依存傾向の高い中学生は7.6%、高校生は9.2%と、大学生(6.1%)や社会人(6.2%)より高い値を示した。全体を見ると、男性5.8%に対して、女性は6.7%とやや高い。そしてスマートフォン(以下、スマホ)所有者ほど依存傾向が高い(6.8%)結果となった。
今回は、子どもと「スマホ依存」に絞って、ゲームとSNSの問題点を見てみよう。
アルコール依存症専門病院としてよく知られている神奈川県横須賀市の国立・久里浜医療センターでは、ネット依存患者の急増に対応して、2011年にネット依存治療部門を開設している。同部門の中山秀紀医師の話では、「受診者は中学生や大学生などのオンラインゲーム依存者が中心で年々増えている。下は10歳から上は86歳の高齢者まで。男性が女性より5倍多い」という。
依存傾向が強まる理由の一つは、ゲームそのものの構造にある。人気のオンラインゲームは多人数が同時参加してネット上の仲間とチームを組んで敵と戦う「MMORPG(大規模多数同時参加型オンライン・ロールプレイングゲーム)」だが、チームを組んで戦うため途中で抜けると仲間に迷惑をかけると、長時間やり続けることになりがちである。チーム内で活躍すれば仲間から賞賛されるため、満足感や敵を打ち倒す達成感が得やすく、依存傾向に陥りやすい。
低年齢化も進んでおり、無断で親のクレジットカード番号を使って決済するトラブルも増えている。国民生活センターの発表によれば、未成年者のトラブルの7割以上がクレジットカード利用であり、平均購入金額はなんと23万円にも達する。子どもはゲームにのめり込みやすく、高額なアイテムでも躊躇なく購入してしまう。期間限定のアイテムなどもあり、ゲームに毎日誘導するような仕掛けも施されている。無料だからと、勝手に子どもにゲームをやらせるのは、依存や料金トラブルの原因である。