なぜ小保方研究員は改竄なのか

画像をめぐる3つのエピソードである。

(1)新聞記者駆け出し時代の1970年ごろ、九州に一人の名物記者がいた。彼は通信局長時代に懲戒処分を受けていた。地方にいると、花見、海開き、卒業式など、暦としての決まりものを地方版に出稿することが多いが、彼はいつものように桜の名所に写真をとりに行くのをさぼって、前年のものを流用した。読者から「今年は花見に行っていない」という連絡があって、事実がばれた。


図1 米ロサンゼルス・タイムズ紙の1面に掲載されたイラク戦争の現場写真

(2)2003年4月、米ロサンゼルス・タイムズ紙の1面に掲載されたイラク戦争の現場写真が合成であることがわかって、カメラマンが解雇された。同紙によれば、イラク南部のバスラで撮影されたもので、カメラマンは現場写真の効果を高めるために、連続撮影した写真の2枚をコンピュータで合成した。

図1に掲げた3枚の写真の上が合成写真、下がもとになった2枚の写真である。兵士が銃を構えた姿勢、中央の人物の顔の向きなどを見ると、カメラマンがなぜ合成したくなったのかがよくわかる(^o^)。バックの人物の何人かが2箇所にわたって写っているのを編集部が見つけて合成だと発覚した。

(3)2014年のSTAP細胞をめぐる騒ぎで、科学誌『ネイチャー』に投稿した小保方晴子研究員の論文の遺伝子解析の画像に切り張りあることが、ネットでの指摘によって判明した。結果を見やすくするために、別の画像の一部を切り取り、縮小して挿入したらしい。この問題を調査した理化学研究所は研究結果をつくりあげることを「捏造」、資料を操作し本物でないものに加工することを「改竄」と定義しており、小保方研究員の行為を改竄とした。