子どもも社員も、褒めてはいけない
子育てや社員教育において、最近は「褒めて伸ばす」が主流のようです。社内で大きなプロジェクトが成功した、今期の利益目標を達成した、あるいは子どもが志望校に合格した……。こうしたビジネスや人生の節目だけでなく、日々の小さな成功に対しても部下や子どもをしっかりと褒めてやる気を引き出そうと考える人は多いのかもしれません。
しかし、私は基本的に褒めません。社員も私から褒められた記憶はないでしょう。私にはすでに成人した娘と息子がいますが、子育てにおいても子どもを褒めませんでした。
褒めれば相手は満足し、「それでいい」と思うでしょう。そこで成長が止まってしまうことが怖いのです。先ほど例に出したプロジェクトの成功や利益目標の達成、志望校合格などは、ひとつの通過点であり、ゴールではありません。たとえ志望校に合格したとしても、進学した学校で何を学び、その先の人生をどう生きるかのほうが重要です。
特に組織の場合は、マンネリ化せず、つねに緊張感や危機感を持ち続けなければなりません。「今期は利益目標を達成できて万々歳」と社長がホッとした途端、社員もホッとしてしまいます。組織が緩むことがいちばん怖い。ですから、組織のトップは絶対にホッとしてはいけないのです。今期の利益目標を達成したとしても、ビジネスにはまだ先があります。まだまだ十分ではないし、もっと利益を出せるはず。もっと上を目指すにはどうするかを考えて、社長も社員も走り続ける。そうやって過去27年間、セーレンは成長し続けてきました。
人はみな褒められればうれしいでしょうし、褒めてほしい、認められたいという欲求もあるでしょう。しかし、私は褒めもしなければ、認めることもしません。このやり方がいいか悪いかはわかりませんが、これが私のやり方です。