福井まで届かなかった北陸新幹線
北陸新幹線の開通で、お隣の石川県と富山県が盛り上がっています。先日、金沢駅に降り立ちましたが、観光客で大いににぎわっていました。じつにおめでたい話です。しかし、我々福井県民にとっては少しもめでたくはありません。
北陸新幹線の整備計画が決まったのは1973年のことです。42年かけてようやく開業にこぎつけたと思ったら、福井の一歩手前の金沢止まり。当初は北陸三県(富山・石川・福井)同時開業の予定だったにもかかわらず、福井だけ取り残されたのは、……やはり政治の力が弱いからでしょう。福井県にとっては非常にゆゆしき状況です。
福井を含む金沢-敦賀間は2022年に開業予定です。しかし、11年後の開業では遅い。11年後の世界では新幹線が必要かどうかもわかりません。せめて3年前倒して、2020年の東京オリンピックに間に合わせていただきたい。これが福井県民、そして地元産業界の願いです。
私は現在、福井商工会議所会頭と福井県経済団体連合会長を仰せつかっています。この立場から申し上げると、安倍政権が推し進めるアベノミクス効果で日本経済は明るさを取り戻してきたものの、中小企業や地方経済には景気回復の実感が浸透していないのが実情です。ただ、今年に入ってからは、円安株高、財政政策、原油安のトリプル効果により、穏やかながら景気回復に期待が持てる状況になっています。特に財政政策では、地方経済や中小企業対策および地方創生のための予算が確保され、アベノミクスにおける重要施策に位置づけられています。
そのような状況のなか、福井県の経済は比較的堅調です。雇用面でいえば、有効求人倍率(平成27年3月)は1.54倍と東京に次いで全国2位です。完全失業率(平成27年3月)は、全国で最も低い1.9%。女性の社会進出も全国でナンバーワンであり、安倍首相が「女性の活躍」を提唱し始めるずっと前から、福井県では行政と地域が協力して、仕事と家庭、育児を両立できる環境づくりに取り組んできました。