いつの時代も「出る杭」は打たれる

【齊藤】配慮ができる、できないというのは、日頃の考え方によって大きく違ってくるところですね。

【高城】そうですね。左遷される人は、仕事の能力が低い人から左遷されるのではなく、組織に迷惑をかける人が飛ばされることが少なくないのです。

【齊藤】仕事をするうえで、「人間関係能力」みたいな能力が必要ですが、仕事のできる人はついそこを軽視しがち。しかし組織は人間でできているから、誰かが飛び抜けて目立つと、それに対してそんなに快く思ってない人が出てくる。だからそこまで配慮できるかどうかが大切になります。

【高城】結局、左遷のパターンを考えると、たとえば隣の部署に移るのは左遷とはいいません。どこか地方に行かされるなど、現在のポジションにいると、隣の部署に行っても決して悪い影響は変わらないから、全然関係ないところへ移される。しがらみの中に置いておくことによって、周りに対する影響が大きすぎるから。

【齊藤】まあまあ自分には能力があると信じているというか、気づけない人が多いですね。

【高城】左遷される人は、上司が嫌いだから飛ばすケースももちろんありますが、どちらかというと、周りの迷惑が大きすぎて、左遷になるパターンが少なくありません。

※本連載は書籍『なぜ、嫌われ者だけが出世するのか?』(齊藤 勇 著)からの抜粋です。

高城幸司(たかぎ・こうじ)●セレブレイン代表。1964年生まれ。同志社大学卒業後、リクルート入社。リクルートで六期連続トップセールスに輝き、「伝説のトップセールスマン」として社内外から注目される。その後、情報誌『アントレ』の立ち上げに携わり、事業部長、編集長、転職事業の事業部長などを歴任。2005年、リクルートを退社し、人事戦略コンサルティング会社「セレブレイン」を創業。企業の人事評価制度の構築・人材育成・人材紹介などの事業を展開している。『「課長」から始める 社内政治の教科書』(ダイヤモンド社)がベストセラーとなり話題になる。Twitterのアカウントは @koji1021。「高城幸司の社長ブログ」 http://blog.goo.ne.jp/k-takagi001021

 

齊藤 勇(さいとう・いさむ)●対人心理学者、文学博士。1943年生まれ。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。立正大学名誉教授、大阪経済大学客員教授、日本ビジネス心理学会会長。とくに人間関係の心理学として、対人感情の心理、自己呈示の心理などを研究。TV番組「それいけ!ココロジー」に出演し監修者を務めるなど、心理学ブームの火つけ役となった。『心理分析ができる本』(三笠書房)など、編・著書・監修多数。企業社会などで起こる「人間の足の引っ張り合い」や「いじめ」に関して、社会心理学者としてユニークでわかりやすい論陣を張る。

(高城幸司、齊藤 勇=談 撮影=飯貝拓司)
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