もはや逆転出世の可能性がない中高年諸君よ、ここで腐ってはいけない。上手に定年までぶら下がる方法を伝授しよう。
事業構造改革やビジネスモデルの変化に応じた組織変革にともなう降格や子会社への出向などは今や日常茶飯事だ。管理職といえども安泰ではない。
情報通信会社の人事部長は「うちでは課長・部長でも1年で職務を全うできなければ1度降格させて、若手を抜擢する“入れ替え戦”をやっている。もちろん再チャレンジはできるが、40歳以降の世代が這い上がるのは正直難しい。体力・気力がついていかないということもあるが、モチベーションが下がる社員が多い」と指摘する。
降格・出向した社員は2つのタイプに分かれると人事部長は言う。
「最初は誰しもショックを受けるがそのまま腐ってしまう人と、目の前の仕事にコツコツと取り組むタイプに分かれる。1度腐ってしまうと、なにか斜に構えたような態度になり、仕事に全力を尽くそうとしなくなる」
そういう人はおおむね消滅していく。
逆境に陥ると高学歴社員ほど打たれ弱いという話もある。大手電機メーカーの元人事部長は「東大院卒の社員で、30歳ぐらいまでは実務能力も高く、同期のトップを走っていたが、30代半ばで同期に抜かれはじめたとたんやる気を失った。40代半ばで子会社に出向したが、そこでも上司と諍いが絶えず、結局、50歳のときに退職勧奨を受けて辞めてしまった」と語る。
大事なのはどんな不遇な環境に追い込まれても、新たに出直す覚悟を持つことなのだ。
ネット広告業の人事部長は、「40代半ばでも今の仕事が不適格と判断すれば、20代の社員と同じ仕事を担当させることもある。もちろん給与は下がるが、それでも若手に教わりながら努力している人もいる。年輩者もこれまでの経験を語り、若手とよい意味で刺激し合う関係ができることは会社としても望ましい」と語る。
電機メーカーの元人事部長も「子会社に出向しても、しっかりと実績を挙げていれば、必ず誰かが見てくれているもの。『あいつは子会社に出されても、なかなか打たれ強い』と評価され、本社に戻されることもある」と語る。腐ることなく、真面目に仕事をしていれば拾う神もあるということだ。