断続的に考え最後の5分で決断
私にとって一番大事な仕事は、オリックスという会社の5年後がどうあるべきかを考え、その方向に舵を切ってゆくこと。ところが自分の優先順位から7番目の仕事をやってくれとか、どこそこで挨拶してくれと15番目くらいの用事を言われるから、げんなりしてくる(笑)。
睡眠時間を大きく削って仕事を入れることはありません。社長になって半年経った頃、過労でダウンしたことがあり、体が弱ると途端に仕事に差し支える。今は仕事に命をかけるなんて大嫌いです。夜に考えごとをすると頭に浮かんでくるのは大抵心配事で、そのうち枕元にメモ帳を置いて考え始める。しかし朝、メモを見返すと、会社がおかしくなるような案ばかりです。夜は悪魔の時間。後ろ向きの、人間不信の考えしか出てこない。
夜はよく寝る。そして早起きして、お日様に当たりながら考える。そうしなければいいアイデアは浮かんできません。大切な決断は必ず朝にします。
平日の昼間、じっくり考える時間はほとんど取ることができません。かといって「今日は考える日だからスケジュールを空けておきました」と言われても考えられるものでもない。思考を追い込んでいって、最後の決断というのは5分あればできる話です。そこに辿り着くまで断続的に考え続けているのであって、「考える時間」をつくって考えているのではありません。
(08年2月18日号 当時・会長 構成=小川 剛)