断続的に考え最後の5分で決断

オリックス元会長兼CEO 宮内義彦氏●1935年、兵庫県生まれ。58年関西学院大学卒業。64年オリエントリース(現・オリックス)入社。03年取締役兼代表執行役会長・グループCEOを経て、14年シニア・チェアマン就任、現在に至る。

私にとって一番大事な仕事は、オリックスという会社の5年後がどうあるべきかを考え、その方向に舵を切ってゆくこと。ところが自分の優先順位から7番目の仕事をやってくれとか、どこそこで挨拶してくれと15番目くらいの用事を言われるから、げんなりしてくる(笑)。

睡眠時間を大きく削って仕事を入れることはありません。社長になって半年経った頃、過労でダウンしたことがあり、体が弱ると途端に仕事に差し支える。今は仕事に命をかけるなんて大嫌いです。夜に考えごとをすると頭に浮かんでくるのは大抵心配事で、そのうち枕元にメモ帳を置いて考え始める。しかし朝、メモを見返すと、会社がおかしくなるような案ばかりです。夜は悪魔の時間。後ろ向きの、人間不信の考えしか出てこない。

夜はよく寝る。そして早起きして、お日様に当たりながら考える。そうしなければいいアイデアは浮かんできません。大切な決断は必ず朝にします。

平日の昼間、じっくり考える時間はほとんど取ることができません。かといって「今日は考える日だからスケジュールを空けておきました」と言われても考えられるものでもない。思考を追い込んでいって、最後の決断というのは5分あればできる話です。そこに辿り着くまで断続的に考え続けているのであって、「考える時間」をつくって考えているのではありません。

(08年2月18日号 当時・会長 構成=小川 剛)