がんの余命宣告から劇的に治った事例が数多くあることをご存じだろうか。著者のケリー・ターナー博士は実際に治った事例を徹底的に研究し、そこに9つの共通した習慣があることを発見した。
「この本を書いたとき、多くの医師から怒りの声が届くのではないかと予想していましたが、批判はほとんどありませんでした。本の序章に『この9つの共通の要素は仮説である』と明記したからでしょう」
著書の出版後、サンフランシスコのバイオテック企業からは「がんが治癒した患者の遺伝子を研究したい」という連絡もあった。遺伝子プロファイルは以前から話題になっているが、今もっとも注目されている研究領域が「エピジェネティクス」である。これは、遺伝子が同じでも、どの遺伝子のスイッチがオンになって、どれがオフになっているかを研究する分野である。
「この研究で明らかになったのは、毎日30分の瞑想を8週間続けると著しく遺伝子発現が変わったということです。つまり、瞑想はがん遺伝子のスイッチをオフにして、健康を促進する遺伝子のスイッチをオンにすることができるのです」
この9つのアプローチを実践しても、必ずしもがんが治るわけではない。確実にわかっているのは、この9つのアプローチが免疫システムを強化することだ。
「日本のビジネスマンはともするとストレスをためる傾向にあるので、要注意です。日頃からストレスをためないで、前向きに生きる強い気持ちをもってください。免疫力が強化されるとがんと闘う力も強くなります。ですからまだ効果が出ていなくても、諦めないで続けてほしい」
(大野和基=撮影)