上原 善広(うえはら・よしひろ) 1973年、大阪府生まれ。大阪体育大学卒業後、ノンフィクションの取材・執筆を始める。2010年『日本の路地を旅する』(文藝春秋)で第41回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。2012年「『最も危険な政治家』橋下徹研究」で第18回雑誌ジャーナリズム賞大賞を受賞。

〈学問いうのはね、人間とは何かを純粋に突き詰めるもんやと思う〉

考古学に憑かれた男たちの愛憎と対立を追った本書で、ある研究者はこう語っている。彼の言葉を引き出した上原善広さんもまた人間とは何かを突き詰める作家である。

上原さんは「路地(同和地区)を書くことは人間を探ることに繋がる」という考えから、自身のルーツである被差別地域を描いてきた。2010年には『日本の路地を旅する』で大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。本書も、考古学者たちの探求心や情熱だけではなく、名誉欲や嫉妬心にまで感情移入して書いた一冊だ。柱は日本の旧石器時代の存在を示す岩宿遺跡の発見者・相澤忠洋と、その師で「旧石器の神様」と呼ばれた芹沢長介という2人の考古学者。2人の歩みを追うなかで、15年前に発覚した旧石器捏造事件の真相が明らかになる。

(小原孝博=撮影)
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