「笑い」は相手との距離を縮める最も有効な手段のひとつ。ユーモアの極意を探ってみよう。
お笑い芸人に学ぶ聞き手の心の開き方
「お笑いでアマチュアとプロの違いははっきりしています。周りの友達だけを笑わせるのがアマチュア。初めて会う人も笑わせられるのがプロです」
そう説明するのは、よしもとクリエイティブ・エージェンシーの芸人養成所「NSC」で、何千人もの芸人の卵を指導してきた構成作家・大工富明氏だ。
ビジネスマンはステージにこそ立たないが、ビジネスという舞台でサービスを提供し、顧客を満足させる仕事という意味では、芸人同様にプロの姿勢が求められる。
そこで授業で教えている「プロの芸人がやってはいけない5項目」を伝授してもらった。
「まず、内輪ネタ。人間は『自分の知らないことでは笑わない。知ってることで笑う』んです。高校で別の中学出身の友達が中学時代の先生のモノマネで盛り上がっていても笑えないし、仲間はずれにされたような気分になる。内輪ネタは、知らない人には疎外感を与えてしまう危険性があるんです」
またダジャレや聞き手をからかう客いじりも、親しいコミュニティの中であれば笑いは起きやすいが、初めて会う人には通用しにくい。
CMなどの流行ネタも禁物だ。誰もが飛びつくので、すぐに手垢がついて古くなり、恥ずかしいものになる。そして下ネタ。たとえ面白くても、周囲の反応が気になって客は笑わない。
それでは初対面の相手を笑わすには、どうすればいいのだろうか。