3年連続志願者減の厳しい現実
今年の中央大の志願者数は、7万2725人で昨年比9494人、11.5%の減少となった。これで3年連続の志願者減で、全学部で志願者が減っている。大きく減ったのが法学部で、2867人、18.3%減、次いで経済学部が2014人、13%減、文学部が1978人、14.8%減となった。
最近の入試では文系の人気が下がっているが、社会科学系学部の落ち込みが特に目立っている。なかでも法学部は全国的に人気が下がっていることもあり、もっとも志願者が減少したようだ。大手予備校の入試担当者が言う。
「今までなら、不況になると公務員を目指して法学部志望者が増えたのですが、最近は自治体などの公務員の採用枠が狭まっていることから、狭き門なので敬遠しているようです。法学部というと法曹ですが、こちらも法科大学院が設けられて合格者が増え、弁護士になっても仕事がないなどと報道されていることから、人気がダウンしています」
さらに、今年の入試で東日本大震災の被災者への受験料免除への申し込み資格を、昨年より少し厳しくしたことも影響したと見られる。該当者がいる岩手、宮城、福島、茨城の4県の志願者は、昨年の5437人から4349人へ1088人、20%減となった。ただ、それだけで志願者が減ったわけではない。予備校の入試担当者はこう見る。
「最近では大手の人気総合大学と言えども、改革を行わないことには志願者増に結びつきません。今年に関しては中央大に大きな改革がなかったことで、志願者が減った面もあると思います」
中央大は78年に文系学部が多摩キャンパスに移転し、93年に総合政策学部を新設した後、学部の新設は行われていない。学科の増設などはかなり行われているが、積極的に取り組んでいるのは大学院と付属校の改革だ。大学院では都心キャンパスが次々と設置されている。付属校改革では10年に中央大付高に中学校を開設して人気を集め、さらに、神奈川にある横浜山手女子中高と合併した。中央大付横浜に校名を変更し、昨年、新キャンパスに移転し共学となった。大変な人気校となり、偏差値も大きくアップしている。