就職に強い「理高文低」志向が定着
現在の大学入試の特徴は、学部志望動向が“理高文低”になっていることだ。理系の人気が高く、文系の人気が低い状態を指す。08年に起きたリーマンショックによる不況以降、大学生の就職が理系の学部は比較的堅調なことが大きな理由だ。企業が文系就職者が多い事務職の採用を手控えたのに対し、技術者の採用はそれほど減らさなかったためだ。理工系、農学部の人気が高くなってきた。
さらに、人材不足が指摘される医、看護系学部、就職率の高い薬学部などの国家資格が取得できる学部の就職も好調で、入試では人気が高くなっている。その結果、理工系大学の人気が高くなってきている。総合大学のキャリア支援センターの職員が言う。
「大学全体の就職率でよく大学ごとに比較されますが、学内で理系学部の就職率は高いのですが、文系学部を加算すると、どうしても全体の就職率は下がるため、理系学部だけの大学の就職率が高く見えてしまい、人気なのでしょう」
今年の卒業生(大学院修了者を含む)1000人以上の実就職率(就職者数÷<卒業生数-大学院進学者数>×100で算出)の上位を見ると、3位の九州工業大などベスト10に6校も工業系大学が入り、東京理科大は卒業生数4000人以上の大規模大学では、実就職率トップの89.5%だった。
就職で大学を選ぶ傾向が一般的になっているが、これが東京理科大の志願者増にも好影響をもたらしている。2年連続で志願者が増え、リーマンショックが起きる前の06年には4万4536人だったのが、今年は5万3524人に、およそ9000人も増えている。
次に合格者ランキングを見ていこう。トップは東葛飾で昨年に比べて59人増の159人。2位は城北と世田谷学園の145人、4位は昨年トップで32人減となった東邦大付東邦、5位は43人増の本郷の131人だった。ベスト20を見ると男子校が多く9校も入っている。リケジョブームもあって、女子校では豊島岡女子学園が9位に入った。