遅れが資金難を呼ぶ悪循環

施設の遅れが資金調達を難しくし、資金調達の難化が施設の遅れを大きくする。この循環に入れば、地域の一つの計画をめぐる問題が、半導体、電力、冷却設備などに連なる投資全体へ波及する。今回の売りが周辺銘柄に広がったことは、AIへの期待が、設備を実際に稼働させる条件と切り離せないことを示している。

AIの利用が広がることと、すべてのAI投資が予定どおり利益を生むことは、別に検討しなければならない。

将来、大きな需要が生まれても、そこまで資金が持たなければ事業は続かない。需要がある場所と建設できる場所が違えば、移転や接続に時間がかかる。

技術の未来が明るいという見通しだけでは、目の前の事業を支えられない場合がある。

『易経』の大過を手がかりにすれば、問うべきは「AIはどこまで大きくなるか」に加えて、「その大きさを何が支えるか」である。

日経平均株価も一時4000円超下落

11月6日朝の東京株式市場で、日経平均株価の下げ幅は一時4000円を超え、6万円を割り込んだ。取引時間中に6万円を下回るのは5月20日以来、およそ半年ぶりである。東京エレクトロンやアドバンテストも、ともに1割以上下落した。前日の米国市場では、主要半導体銘柄で構成するフィラデルフィア半導体株指数が一時12%安となり、新型コロナ危機初期の2020年3月以来の下落率となった。米国のAI投資をめぐる不安は、日本の半導体関連企業へ波及した。

この動きを、大過の「本末弱」から考えてみたい。現代の産業では、成長の中心と、それを支える条件が、国境を越えて離れている。日本企業の技術への需要を、米国の電力網や地域の合意が支えている。自社から遠い場所にある支えの変化が、自社の成長を左右するのである。