通年で「オフィスカジュアル」を導入する職場が増えている。どんな服を選べばいいのか。スタイリストの森井良行さんは「カタチや商品名で選んではいけない。例えばワークマンが出した4990円のスーツジャケットは問題なく仕事でつかえる良品だが、絶対に守るべき鉄則ルールがある」という――。
ワークマンの看板
写真=日刊工業新聞/共同通信イメージズ
ワークマンの看板。=2023(令和5)年4月4日、兵庫県

ワークマンの「異色の新商品」

ワークマンで売り切れが続出した大ヒット商品をご存じでしょうか。着るだけで疲労を軽減するとうたう「メディヒール」などのリカバリーウェアです。

そのワークマンが9月、まさかのアイテムを新発売して驚かされました。大人気のリカバリー機能を、あろうことかビジネス向けのジャケットに落とし込んだ「リカバリースーツジャケット」です。

ワークマンの「メディヒール リカバリースーツジャケット」
筆者撮影
ワークマンの「メディヒール リカバリースーツジャケット」

「あの疲労回復ウェアのスーツ版が出たらしいですが、あれって本当に仕事で使えますか?」

あるクライアントからも、そんな相談を受けました。大ヒット商品の機能を持つ異色のスーツは、果たしてビジネスシーンに通用するのでしょうか。

結論から言えば、オフィスカジュアルとして十分に活躍します。ただし、「スーツジャケット」という商品名だけを鵜呑みにして、いつものビジネスウェアと同じ感覚で着てしまうと、第一印象で大きく損をすることになります。

一つひとつのアイテムは悪くないのに、なぜか全身姿がパッとしない人には、共通点があります。服を「カタチだけ」で判断する傾向です。たとえば「襟が開いた形状だから、いつものジャケットと同じだろう」という認識は、じつは思い込み。

そして、この解像度のまま服を選ぶことが、第一印象で損をする最大の原因になっています。

今回は、このワークマンの新作を題材に、オフィスカジュアルで失敗しないための「ジャケットの着こなし」の正解を解説します。

誤解を招きかねないネーミングの背景

いくら商品名が「スーツジャケット」だからといって、そのネーミングを鵜呑みにしていつものビジネスウェアと同じように着てしまうと、「一発アウト」になるリスクを拭えません。

というのも私が見るかぎり、これは本来のスーツジャケットではなく、いわゆる「ジャケット風のブルゾン」だからです。このように判断する理由は、デザインにあります。ボタンやポケットなど、細部のデザイン(ディテール)が、明らかにジャケットではなくブルゾン寄りに仕上がっているからです。

まず、スーツジャケットに欠かせない胸ポケットがありません。これ自体は紳士服量販店のオフィスカジュアルでもよく見かける仕様ですが、決定的な違いは腰ポケットにあります。ブルゾンでよく見かける、斜めに切り込みを入れた「スラッシュポケット」と呼ばれるデザインです。手を入れやすく、印象としてはスポーティーに映ります。