省いた時間は、遅れとなって返る
ロイターが伝えたゴールドマン・サックスの推計では、開発規制が強まる可能性のある州に、米国の計画中のデータセンター容量の約45%が集中し、テキサス州だけで約25%を占める。これは中止が決まった割合ではない。計画が集中する地域の判断が、米国全体の投資の速度を左右し得ることを示している。
企業が建設の速さだけを追えば、住民への説明や条件調整は、事業を遅らせる作業に見えるかもしれない。
だが、そこで省いた時間が、後に許認可の難航や制度変更によって、さらに大きな遅れとなって返ってくる可能性がある。
個々の企業には合理的な拡張であっても、同じ地域に集中すれば、電力や水をめぐる負担が積み上がる。その総量に住民が異議を唱えれば、後から来た企業だけでなく、地域全体の開発が制約を受ける。
ここに、成長を急ぐほど成長が難しくなる仕組みがある。
地域との合意にかける時間も、投資を実現するための時間である。それを削ることが、本当に事業の加速になるのかを問う必要がある。
地域の不満が、金融市場の不安へ変わる
建設の遅れは、工事現場の問題にとどまらない。施設の稼働が遅れれば、売上を得る時期も遅れる。一方、土地や設備への支出、借入金に伴う負担が、同じように後ろへずれるとは限らない。収入の開始が遠のくほど、追加の資金が必要になる。調達条件が厳しくなれば、採算はさらに悪くなり得る。
住民の反対、許認可の遅れ、収益化の遅れ、資金調達の難化。一見別々の問題が、一つにつながるのである。
ロイターは、10月からの株式・債券市場の売りによって、データセンター開発に携わる企業の資金調達が難しくなっていたと報じた。選挙結果は、既に弱まり始めていた投資の基盤に、建設の遅れという懸念を重ねたのである。
さらに、株価の上昇に追随して買う「モメンタム投資」では、相場が下落に転じると売却が重なり、値下がりを増幅することがある。実際の建設停止が広がる前に、金融市場が将来の遅れを織り込んで動くのである。

