11月3日の米中間選挙は、共和党の歴史的大敗となった。テキサス州では38年ぶりに民主党が上院選を制し、長年の共和党支持者が50年ぶりにすべての選挙で民主党候補に投票した例もあった。なぜ、トランプ大統領は熱心な支持者からも見放されたのか。米メディアの報道から敗北の背景を探る――。
ホワイトハウス東棟のボールルーム建設現場で演説するトランプ米大統領=2026年11月4日
写真=AFP/時事通信フォト
ホワイトハウス東棟のボールルーム建設現場で演説するトランプ米大統領=2026年11月4日

頭を抱えて店を飛び出した共和党関係者

11月3日に投開票されたアメリカ中間選挙で、共和党は上下両院において過半数を失った。アメリカのドナルド・トランプ大統領が議席を守ろうと自ら打った奇策が、ことごとく裏目に出た格好だ。

投票日の夜、開票速報が流れ始めて間もないころ。

首都ワシントンのビストロ「バターワース」の店内を、「WINNING(勝っている)」の文字が踊る赤い帽子をかぶり、ホワイトハウスの職員が歩き回っていた。「テキサスを落としたら大惨事だ」と語った数分後、一報が入る。テキサス州の上院選で民主党のジェームズ・タラリコ州下院議員が当選確実と発表されたのだ。同州の上院選で民主党が議席を勝ち取るのは、1988年以来となる。

バターワースは、2期目のトランプ氏の支持者たちが首都の拠点としてきた店だ。この夜、集まった共和党の関係者たちは、「上院多数派マティーニ」という政治色のあからさまなカクテルを手に開票の行方を見守っていた。店に居合わせた米誌ヴァニティ・フェアのワシントン特派員、エイダン・マクラフリン記者によると、テキサスで共和党候補が劣勢と知り、頭を抱えて店を飛び出す客もいたという。

結果的に大敗を喫したその夜、トランプ氏は自身のSNS「トゥルース・ソーシャル」に、言い訳めいた投稿を残した。「私は投票用紙に載っていなかった(候補者ではなかった)。載っていたら我々は地滑り的に勝っていたのに!」。

トランプ大統領が推した後継候補も落選

中間選挙は与党に不利になりやすい。それでも共和党は当初、上院の過半数が揺らぐことはないとみていた。

ところが、保守派が優勢なカンザス州では、民主党の上院議員が誕生することになった。1932年以来のことだ。南部のサウスカロライナ州では、急死した兄の後継としてトランプ氏が推したダーリン・グラハム氏が敗れた。メイン州では、5期務めた重鎮のスーザン・コリンズ上院議員までが議席を失っている。

ウォール・ストリート・ジャーナルは、「これほど多くの支持をこれほど急速に手放した大統領はまれだ」と評した。ただし同紙が引用した調査では、投票者の53%が民主党に否定的な見方を示していた。有権者は民主党を選んだというより共和党を退けたと、同紙は分析する。

トランプ氏はテキサス州で、選挙区の区割りを変更することで議席を増やそうと目論んだ。同州の上院選では、共和党関係者から「高くつく」との警告が出るなか、スキャンダルを抱える候補を予備選で後押しした。自分への忠誠心が高い、との理由だった。出馬しない自身を主役に据えた党大会も大々的に開くなど、数々の策を展開した。だが、いずれも思うような成果につながることはなかった。

そうした中、物価高、イラン戦争、政権の私物化など、大統領就任以降に起きた数々の出来事に有権者は怒りを爆発させた。