身内も「プラスにはならない」と評した一言

2つ目の自滅は、トランプ氏が中間選挙の主役に自分を据え、さらには自分への忠誠心の高さで推薦候補を選んだことだった。

9月9日のテキサス州ダラス、NBAマーベリックスが本拠地を構えるアメリカン・エアラインズ・センター。会場となったアリーナではトランプ氏の写真が壁を埋めつくし、エレベーターの中にまで及んでいる。共和党が初めて開いた中間選挙に向けた党大会が、この日幕を開けた。ところが、大会が始まったばかりの場内では、ステージ近くまで空席が広がっている。

演説でトランプ氏は、11月の選挙には自分が出ていると思ってほしいと訴えた。共和党が上下両院で多数派を握った暁には、成人の市民全員に5000ドル(約79万円)を配るとも約束した。上院選の候補に推したケン・パクストン・テキサス州司法長官を持ち上げることも忘れず、「話し方は完璧ではないかもしれないし、これまで見た中で一番の男前でもないかもしれない」と評したうえで、「次の上院議員にふさわしい」と太鼓判を押した。BBCによると、共和党全国委員会のテキサス州代表委員、ロビン・アームストロング氏は、推薦候補の見た目や話しぶりを大統領自らけなしたこの発言について、「当然、決してプラスにはならない」と語っている。

ケン・パクストン
ケン・パクストン(写真=Gage Skidmore/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

敗因を候補者になすり付けたトランプ大統領

パクストン氏は起訴も弾劾もくぐり抜けてきたと、ニューヨーク・タイムズは説明する。どんな悪評も焦げ付かないことから、付いた二つ名は「テフロンのケン」。2020年の大統領選では、バイデン氏が勝った4州の結果を無効にするよう連邦最高裁に求め、トランプ氏の信頼を得た。トランプ氏は予備選の決選投票を前に何週間も支持表明を控えたが、最終的にその「忠誠」を理由にパクストン氏を推した。

党大会からおよそ2カ月後の開票の夜、同じダラス市内のホテルでパクストン氏の集会が開かれた。ウォール・ストリート・ジャーナルによれば、宴会場で飲み物を手に歩き回る数十人の多くは、赤いカウボーイブーツにトランプ氏の標語「MAGA(アメリカを再び偉大に)」の帽子という出で立ちだった。もともと少なかった人出は、思わしくない開票結果が伝わるにつれてさらにまばらになっていったという。同紙が引用した調査では、対立候補だった民主党のタラリコ氏が民主党支持層の99%を固めたのに対し、パクストン氏は共和党支持層ですら88%止まりだった。

米ロサンゼルス・タイムズが伝えたところでは、トランプ氏はその深夜、Foxニュースの電話インタビューに応じ、支持者が「候補者を気に入らなかった」ことを敗因に挙げた。一部の候補者については、「正直、そりの合わない人物でも、党のために受け入れた」とまで語っている。