大統領に背いた21人の共和党州議員

1つ目の自滅は、議席を増やそうと選挙区の線を引き直したことだった。

2025年、トランプ氏の号令に応じたテキサス州の共和党は、本来10年に1度のはずの連邦下院の区割りを途中で引き直した。民主党が議席を持つ5選挙区を組み替え、トランプ氏が10ポイント以上の差で勝てる区にする狙いだ。州の38議席のうち30議席を共和党が獲得し、民主党を8議席に抑える皮算用だった。

号令は同じ年、インディアナ州にも放たれた。米NBCニュースによると、J・D・ヴァンス副大統領がインディアナ州に2度足を運び、トランプ氏は州上院の共和党の会合の場に電話まで入れている。区割りに慎重な州上院共和党トップのロッド・ブレイ氏を、トランプ氏はSNSで「弱く、哀れだ」と罵り、反対する議員には予備選で対抗馬を支援すると表明した。それでも民主党の2選挙区を分割する区割り案は12月、州上院で否決された。賛成19に対して反対は31で、うち共和党議員は21人に上る。

反対票を投じたスー・グリック州上院議員は、「我々は威圧には屈しない」と語った。否決されたその夜、トランプ氏は大統領執務室で記者団に、ブレイ氏への非難を繰り返す一方、「私はあまり関わっていなかった」と敗北を受け流している。その1年近く後、開票の夜に残した投稿とも、どこか重なる言い回しだ。

ラテン系の票は民主党へ流れた

そして迎えた今回の中間選挙で、テキサスの選挙区の細工は裏目に出た。地元非営利メディアのテキサス・トリビューンは、共和党が奪うはずだった5議席のうち4議席を取れず、現有していた議席まで2つ失ったと伝える。30対8の皮算用だったが、結果は24対14。共和党の議席は現議会の発足時より1議席減ってしまった。

新しい区割りは、2024年にトランプ氏がラテン系有権者の間で伸ばした支持の大半を、共和党が維持できることを前提に引かれていた。共和党が奪取を見込んだ5選挙区のうち4つは、有権者の過半数がラテン系だ。ところがそのラテン系の票が、今回は民主党側に流れた。

国境沿いのリオグランデバレーでは、共和党がもともと議席を持っていた第15区で、メキシコ系音楽の歌手ボビー・プリード氏が現職のモニカ・デラクルス下院議員を破った。サンアントニオ周辺で共和党が新たに取りにいった第35区でも、デラクルス氏の兄弟が郡の保安官代理に敗れる結果となった。

ボビー・プリード
ボビー・プリード(写真=Mezquitic/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)