人生最後に後悔しないお金の使い方は何か。漫画家の弘兼憲史さんは「“世間の常識”に縛られて『子どものために、1円でも多く遺そう』と考えて、自分自身の人生を楽しむことを後回しにしてしまうのはあまりにももったいない。自分で稼いだお金は、生きているうちにきれいさっぱり使い切って死にたい、というのが僕の理想だ」という――。
※本稿は、弘兼憲史『結局、「自分に誠実」に生きてる人生が一番楽しい』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
「子どもや孫に財産を残す」には賛成しない
先日、2024年に亡くなられた国民的女優・声優である大山のぶ代さんの遺産に関するニュースを目にしました。
お子様がおられず、ご兄弟などの親族もいないため、遺言がない場合はすべての遺産が最終的に国庫(国の財産)に入るという内容です。何とも言えない複雑な思いが胸に去来しました。
世間には、「老後がとにかく不安だから、1円でも多くのお金を口座に残しておきたい」と考える人がたくさんいます。その気持ちは、僕にもよく理解できます。
これだけ長寿化が進むと、自分がいったい何歳まで生きるのかが予想できません。それまでの道のりで、大きな病気にかかるかもしれないし、介護が必要になるかもしれない。
そう考えると、人はどうしてもお金を使うことに慎重になってしまいます。
さらに、日本のシニア層の胸の奥にある、
「子どもや孫たちのために財産を残してあげるべきだ」
という、世間からの無言のプレッシャー(暗黙の了解)が大きく影響しているような気がします。「子どもや孫が困らないだけの財産を残して死ぬことこそが美徳である」という“世間の常識”です。
しかし、僕は個人的に、この「常識」には賛成できません。

