末期がんを宣告された患者が書いた自分の望み

『最高の人生の見つけ方』(2007年)というアメリカ映画があります。

ハリウッドを代表する名優ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが共演したヒット作で、2019(令和元)年には主人公を女性に変え、吉永小百合と天海祐希でリメイクされたことでも話題になりました。

実業家で大富豪のエドワード(ジャック・ニコルソン)と、自動車整備工のカーター(モーガン・フリーマン)は、ともに“重い病気”の検査と治療のため、入院した病院で知り合います。性格も境遇も正反対ながら、同じ病室となった二人は次第に打ち解けていきました。

そんな中、末期がんにより、残された命が半年ほどしかないことを宣告されたカーターは、学生時代に出された課題を思い出し、「死ぬまでにやりたいことリスト」を書き始めます。

「見知らぬ人に親切にする」
「思い切り笑う」
「世界で最も美しい景色を見る」
「愛する人に気持ちを伝える」……

カーターにとってのリスト作りは、これまでの人生を振り返り、その中で埋もれてしまった自分の願いを、一つひとつ拾い上げていくような作業でした。

しかしカーターは、ある日、そのリストをごみ箱に捨ててしまいます。「いまさらこんなことはできない」「自分には無理だ」――そして「非現実的な夢を見るより、自分の境遇を受け入れるべきだ」と考えたのでしょう。

そのリストに気づき、拾い上げたのがエドワードです。カーター同様に余命宣告を受けていた彼は、リストの意味を悟って自分の望みを書き加えていきました。

ノートに書き込む手
写真=iStock.com/AscentXmedia
※写真はイメージです

「スカイダイビングをする」
「スピードウェイでレースカーを運転する」
「ピラミッドを見る」
「世界一魅力的な女性にキスをする」……

エドワードが加えたのは、金も時間もかかる刺激的な項目ばかりでした。

人生の「バケット・リスト」を作る

そして彼はカーターに「これを実際にやってみようじゃないか」と提案。渋るカーターを、「費用はすべて自分が出す」「時間がないからこそ、やるべきだ」などと説得し、いよいよ二人はリストを手に、生涯最後の旅に出る……という物語です。

この映画の原題は、『ザ・バケット・リスト(The Bucket List)』。日本語では「棺桶かんおけリスト」と訳されています。

「バケット」とは「バケツ」のこと。「死ぬ」=「棺桶に入る」を意味する「Kick the bucket」(バケツを蹴とばす)というスラングに由来した“死ぬまでにやりたいことリスト”のことです。

やりたいことをやりたいのに、自分のやりたいことがわからないという人は、元気なうちにこの「バケット・リスト」を作ってみてはどうでしょう。

世間体や義務感を一度脇に置いて、自分自身と向き合い、「自分は何をやりたいのか」を真剣に考え、箇条書きにしてみるのです。

「バンジージャンプがしたい」「日本一周旅行がしたい」「オーロラが見たい」といった“エドワード型”の望みでも、「誰かの役に立ちたい」「初恋の人に会いたい」といった“カーター型”でも、「蕎麦職人になりたい」「喫茶店のマスターになりたい」「柔道の黒帯になりたい」でもなんでもいい。とにかく一度、真正面から自分に向き合い、自分自身に問いかけてみるのです。