東大の総長選考への批判が続く
東京大学の総長選考に対する批判が続いている。教職員による意向投票では染谷隆夫氏が1107票と過半数を獲得して1位だったものを、総長選考会議がひっくり返し、意向投票では553票と2位だった藤垣裕子氏を次期総長とした。16人からなる選考会議はなぜ染谷氏ではなく藤垣氏に決めたのか、説明を求める声が上がっているのだ。
10月20日には文部科学省が、「社会的責任をしっかり踏まえ、説明責任を果たすことがガバナンス改革を進めていく上で重要だ」として、選考プロセスの検証を文書で求めた。それに対して、大学側は10月30日に、経緯についての文書を公表、最終的に選考会議の議長を除く15人中14人の承認を得て選ばれたとしたが、なお理由の説明などが不十分だという声が広がっている。選考理由について議事録を開示して説明をすると「候補者の評価や名誉に不当な影響を及ぼすおそれがあるため、公表を差し控えます」としている。
総長は「経営のトップ」でもある
これだけ総長選びで異論が噴出する結果となったのは、選考プロセス自体に「正統性」がないと感じる人が多いためだろう。総長選考会議(総長選考・監察会議)は16人で構成され、「研究科長」や「研究所長」など学内教育関係者が8人、企業経営者など学外者が8人となっている。議長はジャーナリストの国谷裕子氏。ちなみに国谷氏は米ブラウン大学の卒業で、東大のOBではない。
一方、意向投票はもともとは教職員による「選挙」で、それによって総長が選ばれてきた。2004年の国立大学法人化とその後の法改正で、総長を選ぶ権限は学外委員・学内委員同数で構成される「総長選考・監察会議」に一元化された。意向投票の結果は、重要な判断材料のひとつとされているものの、法的拘束力はない。
こうした法改正の狙いは、国立大学法人の経営力を高め、教育・研究のための資金を確保することにあった。学内の教職員だけで選ぶ「選挙」の場合、経営力には関係なく、派閥や人気で投票される傾向があった。総長は教育研究のトップであるだけでなく、経営のトップでもあるため、何よりも「経営力」を持った人物を選ぶために学外経営者が入った選考会議で選ぶ形に変わったわけだ。

