不正アクセスを受けたGMOインターネットグループの熊谷正寿会長兼社長の記者会見が話題を呼んでいる。報道対策アドバイザーの窪田順生さんは「企業価値を下げる失敗会見だとという声もあるが、この会見によって、GMOが抱えている問題が浮き彫りになったので、長い目で見ればやってよかった」という――。
不正アクセス問題を巡り、記者会見するGMOインターネットグループの熊谷正寿社長。セキュリティー上の課題を指摘されていたが、脆弱性が2年以上放置された形で、熊谷氏は対応の不備を認めた=2026年11月2日、東京都内
「命の砂時計」というパワーワード
「ささやき女将」「号泣議員」などと共に、日本の危機管理史に残る「伝説」がまたひとつ生まれた。
11月2日、不正アクセス問題に揺れるGMOインターネットグループが開催した記者会見のことである。
熊谷正寿代表が会見中に発した「命の砂時計」という独特の表現が大バズりしているように、今回の記者会見は危機発生時に企業がやるそれとはまったく異なる受け止めをされている。メディアや専門家の評価を総合すると、熊谷正寿代表による「劇場型会見」である。
この手の会見では事実関係や対応策の説明にとどめるのが一般的なところ「得た知見」や「自分の半生」、さらには社会への提言などを「独演会」のごとく熱弁を振るった。被害拡大の恐れもある中で、こういうエモーショナルな情報発信に踏み切る企業経営者は極めて異例だ。
一度も「儲ける」と言ったことがない?
「人間臭さフルスロットル」でステージに立てば必然的に「人間ドラマ」が始まってしまう。つまり、本人はいたって真面目にやっていることでも、ハタから見ると滑稽で、まるで「コント」のように見えてしまうのだ。わかりやすいのは会見の前半、熊谷代表が20秒間の沈黙後に涙ながらに放ったこんな「決め台詞」だろう。
「私は! 31年間! 一度たりとも! 『もうかる』『もうける』という言葉は使ったことがありません! (社員)8300人にご確認ください。お客様に喜んでもらいなさいと、だから一番いいサービスを作りなさいと、そう言ったこと以外ございません!」
だが、ネットやSNSですぐにツッコミが寄せられる。熊谷代表の公式サイトを開けば、「主な著書・著作・監修等」には、「夕刊フジ」で「熊谷正寿の儲ける!儲かる!インターネット」(2003年6月5日~7月4日)という連載があるからだ。

