「これをやったらダメ」のオンパレード

感情を爆発させて意味不明のことを口走るという姿から、SNSでは野々村竜太郎元兵庫県議会議員の政務活動費不正支出に関する「号泣会見」と重ねられ、「令和の野々村」などとイジられているのはご存じの通りだ。

このように企業トップに「コント」をやらせないため、日本の危機管理というものは発展してきた。

メディアの仕事を経て報道対策アドバイザーとして、この18年ほどさまざまな企業団体の会見トレーニングや記者会見のサポートをしてきた立場から見ると、GMOの会見にはこのような視点はごっそりと抜け落ちていた。

我々のような人間が「これをやったらダメ」「被害者感情を逆撫でするので控えてください」とクギをさすことを、ことごとく手を出している印象で実際、専門家の中にも「会見は大失敗」「やらないほうがよかった」という厳しい評価が多い。

ただ、個人的にはちょっと違う考えだ。

GMOの「病巣」が浮かび上がった

確かにあの会見は事態を悪化させて、企業価値を下げた部分はあるものの、長い目で見れば、やってよかった。

SNSでは「セキュリティ問題から世間の目を逸らすため、あえておかしな言動をしたのでは」なんて“おもしろ考察”もなされているが、そういう話ではない。この組織が抱えている「病巣」をこれ以上ないほどわかりやすく、誰にでも見える形で浮かび上がらせることに成功したからだ。

アクシデントに直面した際にその人の本当の姿がわかるのと同じで、危機管理の場では、その企業の「本性」が残酷なまでにさらされるものだ。

例えば、いわゆる「大企業病」に侵されている組織の会見では、トップの語る言葉に、顧客や取引先という外部の人々への配慮がごそっと抜け落ちる。また、登壇者が具体的な説明ができず、記者から吊し上げられがちになる。セクショナリズムと自己保身が強いため、部署間での連携や情報共有が乏しいからだ。

では、今回の「コント会見」でどんな問題が浮かび上がったのか。結論から先に言ってしまうと、「体育会カルチャー」と「宗教経営」という企業体質だ。

GMOインターネット本社が入居する渋谷フクラス
GMOインターネット本社が入居する渋谷フクラス(写真=Wikihiroo00/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)