世界に誇るセキュリティのプロなのに…
順を追って説明しよう。まず、今回のセキュリティの脆弱性については、グループ内の「GMOサイバーセキュリティ byイエラエ」が2024年4月時点で指摘済みだった。しかし、それは熊谷代表のところまで届いていなかった。
同社が参加した国際合同チームは、世界最高峰のセキュリティカンファレンス「DEF CON 34」で今年世界1位にも輝くなど、この分野での知見を持っている。しかも、セキュリティというGMOグループのビジネスモデルの根幹に関わる問題だ。
なぜこんな「異常事態」が起きたのかというと、GMOサイバーセキュリティ byイエラエが「新参者」だったからだという。
会見で記者から、同社の指摘がグループ内で影響力を持てていなかったのではないかという質問が飛ぶと、熊谷代表は「グループに加わった直後から発言力を持つのは難しく、社内で信頼関係を築くにつれて徐々に影響力が高まっていく」と、この指摘時点で同社のグループ内序列が低かったことを認めた。
サラッと言ってのけているが、これは企業危機管理の観点から見ると、かなり深刻な「病」だ。
転職してきた中途入社の者が社内の致命的な問題を発見して上司に報告をしても「君はまだ社歴が浅いから」と放ったらかしにするような会社があったら、かなりヤバいではないか。
「体育会系」が垣間見えたシーン
組織に新たにジョインした新参者の発言力が低いというのは当たり前だが、それが組織全体を揺るがすような問題の場合、意思決定できる者へと速やかにエスカレーションさせなくてはいけないというのが、企業危機管理の「常識」だ。
そのために一般的な企業は、異常を察知した者が人間関係や役職の低さなどで萎縮しないよう、経営陣にも届く情報提供窓口や緊急対応の社内フローを設けるものだ。つまり、リスク発生時にまで「序列」が影響を及ぼす組織というのは、かなりの「風通しの悪さ」を想像してしまう。
そんなGMOの体育会系カルチャーが垣間見えると話題になったシーンがある。会見で熊谷代表はGMOの社風として、「上下関係がある言葉は禁止」「社員はパートナーと呼んでおります」とフラットさを強調した一方で、急遽登壇することになった社員が、スーツのボタンを開けていたところ、熊谷代表が「公開説教」したのだ。
「部下を注意する時は個室で」というのがビジネスマナーとして定着している昨今、「パートナー」に対するこの仕打ちには違和感を覚える人も多く、SNSでは自身の「謝罪への真摯な姿勢」「マナーや礼儀に対する厳しさ」を社会に印象付けるために公衆の面前で注意をしたのではないか、という穿った見方をする人もいる。つまり、名門野球部の鬼監督がやるように、自分のブランディングのために「見せしめ」にしたというのだ。

