※本稿は、井原裕『精神科医が発達障害・いじめ・不登校に悩む親に伝えたい わが子のこころの見守りかた』(ウェッジ)の一部を再編集したものです。
今すぐ「いじめ」をやめさせること
わが子からいじめの事実を聞いたら、直ちに学校に事実確認をしましょう。そして、その記録をとりましょう。日付、尋ねた内容、先生の答え、先生の名前などです。
しかし、昨今のいじめに関する報道を見てもわかるように、学校が必ずしも親身になって対応してくれるとは限りません。もちろん、事実確認のために誠実に動いてくれる先生もいます。とはいえ、クラスの児童生徒一人ひとりに事情を聞いたり、まわりから情報を集めたりする作業には、相応の時間がかかります。
誰がどのようないじめをしたのか。それは本当に「いじめ」と言えるのか、あるいは単なるからかいの延長ではないのか。そもそも、なぜそのような状況が生まれたのか――。こうした事実関係を丁寧に確認すること自体は、もちろん重要です。
しかし、子どもが「いじめられている」と訴えている以上、悠長に構えている時間はありません。
学校側の対応を待っている間にも、子どもはいじめられ、追い詰められていく可能性があります。
事実関係を確認していては間に合わない
いじめ問題に対処する方法はただ一つ、今すぐ「いじめ」をやめさせることです。
いじめられている子どもは、今まさにつらい思いをしています。このまま状況が続けば、生きる希望を失い、破滅的な行動に出ないとも限りません。最悪の事態を防ぐには、とにもかくにも今すぐいじめをやめさせなければなりません。
誰がやったのか、誰はやっていないのか。これはしたが、あれはしていないのか。そうした細かいことは後から確認すればいいのです。ご子息・お嬢様の生死に関わる緊急事態なのですから、まずは何よりも、今すぐいじめをやめさせることに全力を注ぐべきです。
しかし、残念なことに、学校というものは、一般に、すぐには動いてくれないものです。いじめられている子が今まさに崖から飛び降りようかと悩んでいるときに、学校は、「誰がやったか」の事実確認にばかり時間を費やしていたり、その事実さえなかったかのように振る舞ったりするかもしれません。
そんなときに、事態を大きく変える切り札があります。

