世界銀行は1260億円の融資を承認

工事を止めたのが選挙なら、再び動かしたのも選挙だった。2024年6月12日、政権が交代し、止まっていた現場が動き出した。ナイドゥ氏が州首相に返り咲いたのだ。

アンドラ・プラデーシュ州首相、N・チャンドラバブ・ナイドゥ氏
アンドラ・プラデーシュ州首相、N・チャンドラバブ・ナイドゥ氏(写真=Hemshah171095/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

その年の12月、世界銀行が8億ドル(約1260億円)の融資を承認する。2019年に融資要請が取り下げられた3億ドルの2倍を超える額だ。その後、2025年5月2日になってモディ氏は、州政府庁舎や高裁庁舎を含む74事業を再始動。総額は4900億ルピー(約8130億円)にのぼった。「アマラーヴァティーは単なる都市ではない。形になりつつある夢だ」とモディ氏は言う。

今年3月、州の都市開発相は、州政府庁舎となる5棟のタワーの建設が急ピッチで進んでいると発表している。冒頭の看板に描かれていたのは、この5棟とみられる。

もっとも、唯一の州都と定められたが、人の暮らしが根付くのはまだ先だ。世界銀行は、2024年12月時点で、一帯の人口を約10万人としていた。計画人口350万人の3%にも届かない。

視察で判明した作業員不足

再び勢いづいた新州都の建設計画だが、今年春の時点では、肝心の人手が足りていなかった。域内各所の工事現場では、働き手が寝泊まりする場所さえ満足に用意されていなかったという。

フェデラルの今年5月の報道によると、融資元の世界銀行の視察で、請負業者の報告が実態と食い違っていることが分かった。契約では、最低2万2000人の作業員を配置すると定められている。業者は2万人超を配置したと報告していたが、実際の人数は1万7000人にも届いていなかったという。車両や機械類に至っては、必要とされる3600台に対し、稼働していたのは約1100台にすぎない。

深刻なのは、工事現場だけではなかった。作業員宿舎の環境は、さらに劣悪だった。他州から出稼ぎに来た労働者は、酷暑の中、トタン小屋での寝起きを強いられた。飲み水もトイレも足りず、日差しをよける場所も乏しかった。賃金の支払いの遅れも指摘された。体調を崩し、現場を後にする人も出ており、後任となるはずの働き手も現場入りに二の足を踏んでいたという。

インド英字日刊紙のハンス・インディアによると、9月中旬、アマラーヴァティー開発公社のD・ラクシュミ・パルタサラティ会長兼社長が、トゥッルールの作業員宿舎を訪れた。スシーラ氏が痣を見せた、あのトゥッルールにある宿舎だ。

パルタサラティ氏は、家族を連れて移り住んだ女性労働者たちから話を聞き、寝泊まりする部屋の換気の悪さと照明の乏しさについて、請負業者の担当者を問いただした。

2014年のアンドラ・プラデーシュ州分割から、すでに12年が経つ。緑豊かな理想都市を描いた新州都アマラーヴァティー構想は、未だ実現の途上にある。

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