真面目に頑張っているのに幸せになれないのはなぜか。働く人のメンタルヘルス支援を行う「Smart相談室」代表の藤田康男さんは「目標達成のために努力を続けることは大切だが、その努力が現在の生活や心身の健康を犠牲にしてしまうことも少なくない」という――。

※本稿は、藤田康男『悩みの統計学』(扶桑社)の一部を再編集したものです。

紙の資料をペンでなぞりながらラップトップで作業する男性
写真=iStock.com/gorodenkoff
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「自分の理想」ばかり追いかけてしまう

▼ケース1 自分が考案したキャッチコピーの質に納得がいかない。もっと成長したいのに!

社会人のAさんは常々、時間をかけて考えたキャッチコピーを見て、「もっといい表現があったはずだ」「プロならもっと魅力的な案を出せるはずだ」と感じてしまいます。

周囲からは評価されていても、自分に合格点を与えられない。成長したいという気持ちは強いけど、その気持ちがかえって自分への不満になり、「自分はまだまだだ」という感覚ばかりが大きくなっています。

対処法 短期的に「できたこと(成長したこと)」に目を向けよう

理想を持つこと自体は悪いことではありません。むしろ理想は、人を成長させる重要な原動力です。しかし、理想の自分ばかりを基準にしていると、いつまでたっても不足感から抜け出せなくなります。

そこで有効なのが「理想の自分」と比較するだけでなく、「以前の自分」と比較する視点です。半年前、1年前の自分と比べて何ができるようになったのか、昨日と比べてどうか。どんな経験を積んだのか、それらを書き出してみましょう。

成長は「過去を振り返る」ことで確認を

過去の自分との比較は、自分の成長を客観的に確認する助けになります。

社会的比較では、人は何かと比較することで自分を評価するとされています。しかし、比較対象を常に遠い理想や優秀な他者に設定すると、満足感は得にくくなります。成長を実感したいのであれば、「昨日の自分」「過去の自分」を比較対象にすることがおすすめです。

理想と現実のギャップに苦しんでいるときは、理想を下げる必要はありません。その代わり、自分が積み重ねてきた成長にも目を向けてみてください。

理想は未来を見るために使い、成長は過去を振り返ることで確認する。この両方の視点を持つことで、前向きなエネルギーを失わずに成長を続けられるようになるでしょう。