日本ではまだ珍しい木造住宅の屋上庭園を手がける会社がある。株式会社innovation。岡崎富夢社長が、「住宅業界にイノベーションを起こしたい」という思いで名づけた社名だ。岡崎氏は、自社の屋上庭園を“住宅業界のiPhone”と位置づける。その意味するところは何なのか。田原氏が思いを聞いた。

屋上庭園の施工を15人から2人に

岡崎富夢氏

【田原】岡崎さんの会社は屋上庭園を販売していますね。どのあたりにイノベーションがあるの?

【岡崎】木造住宅の屋上庭園は普通、500万円くらいかかります。それを100万円で実現できるようにしました。

【田原】5分の1となると、ただの値引きじゃないね。どうすればそんなに安くできるのですか。

【岡崎】いくつか工夫があります。まず一つが、オーダーメードからレディメードへの転換です。もともと屋上庭園は、お客さんと「どの会社のどの床材を使いますか」というように一つ一つやりとりして決めていました。それをすべてやめて、1社1商品に絞り込みました。そうすると大量購入ができるので仕入れ値を下げられます。また、親会社がやっているビルの屋上庭園とも部品を共通化しました。これでさらにコストを抑えることに成功しました。

【田原】親会社は、ビルの屋上庭園をやっている会社?

【岡崎】はい、親会社の東邦レオはビルの断熱材や緑化をやっていて、屋上庭園資材の市場で約8割のシェアを持っています。そこと部品を共通化して絞り込むことで、半額以下の250万円ぐらいになります。

【田原】部品共通化は、いま自動車会社が必死になってやってますね。自動車は部品が何千とあるから効果は大きい。ドイツのフォルクスワーゲンはそれで成功した。

【岡崎】次に見直したのが施工です。オーダーメードのときは、屋上庭園を一つやるのに15人ぐらい必要だったんですよ。これを2人でできるようにしました。

【田原】2人でどうやってやるの?

【岡崎】現場で簡単に施工できるように、まずハーフメードぐらいまで仕掛けます。さらに荷揚げの方法から施工まで、どうやったら簡単にできるのかということをビデオに撮り、パートナーの工務店に見てもらっています。