【田原】でも結局は仕事を続けていますね。これはなぜ?

【岡崎】上司に「辞めて何がしたいのか」と言われまして。辞めてからやりたいことが明確で、かつ、この会社ではできずにほかの会社でできるのだったら拍手をして送り出すが、現状が不満で辞めたいだけなら、どこの会社に行ってもまた辞めるぞと。

【田原】いい上司に恵まれましたね。僕もその通りだと思う。

1992年、地元の小学校、中学校を経て、下関商業高校に入学。テニス部のキャプテンを務めるなど活躍したが、大学進学を意識し、大学に挑戦することにした。

【岡崎】はい。それで僕も自分は何がしたいのかと真剣に考えました。思い当たったのが中学、高校の部活です。体育会のテニス部のキャプテンだったのですが、2回とも弱いチームを市内有数の強豪校にすることができました。振り返ると、僕は高い目標をかかげて、チームを強くしていくことが好きらしい。それを仕事にするなら、プロの経営者。そのころ日産を立て直したカルロス・ゴーンさんが話題になっていて、ああいう経営者になりたいなと。

【田原】ゴーンさんのどこに惹かれた?

【岡崎】外国から単身乗り込んできて、結果だけを求められる厳しいプレッシャーの中で、実力で結果を出していく。その姿に憧れたのです。じつはそのころ、弊社の業績はあまりよくありませんでした。それでゴーンさんみたいに、いつか俺が立て直してやろうと。

【田原】といっても、2年目だと、できることは限られているでしょう。

【岡崎】3年目に大手設計事務所への特販チームができ、そこに抜擢されました。僕だけが大手の設計を攻略できたので、思い切って社長に「年上の優秀な人を3人付けて僕に特販チームを任せてくれたら、絶対に会社として成功させます」と直訴。すると、社長も「やってみろ」と言ってくれました。

【田原】年上の人って何歳ですか。

【岡崎】約50、40、30歳です。

【田原】当時あなたは20代でしょう。年上って使いにくいんじゃない?

【岡崎】僕が使いやすい後輩を連れてきてもダメです。会社のためになる特販チームなので、やっぱり年齢に関係なく優秀な人間にきてもらわないと。その結果、2年間で、大手からの売り上げが10倍ぐらいになりました。