【田原】それで100万円まで落ちた?

【岡崎】もう一つあります。販売システムを変えたのです。木造住宅を建てるのは工務店です。これまでは、僕ら資材メーカーから工務店に売るまでに建材商社が3~4社入っていました。僕たちは、これを工務店への直販にしました。木造業界では直販しているメーカーは、僕らのほかにほとんどないはずです。これによって、100万円で売って利益が出るくらいのところにまで下げられました。

【田原】でも、直販にしたら、いままで間に入っていたところから嫌われて、商売がやりづらいんじゃない?

【岡崎】普通は文句を言われると思います。ただ、僕らは木造に新規参入したので、既存の商品流通業者とつきあいがなかった。そこは思い切っていけました。

【田原】なるほど。でも安くすれば売れるものなのかな。日本人はベランダとか庭でくつろぐ文化はないよね。

【岡崎】そうでもないですよ。この間、あるお客さんが、連休中に友達が毎晩来て、屋上でパーティーをしている様子をフェイスブックにあげていました。屋内に人を招いてもいいのですが、リビングだと生活感が出るので、いまは嫌がる人が多いんです。その点、屋上庭園は人を呼びやすい。僕は人が集まるきっかけを屋上庭園が提供することによって日本を明るくすることができると思うし、お客さんもそういう使い方をしてくれている人が多いです。

2010年、木造用屋上庭園「プラスワンリビング」事業を立ち上げる。「100万円」で屋上庭園を実現する新事業を展開。

【田原】いまどれくらい売れてますか。

【岡崎】売り始めて3年で、屋上だけで延べ3000棟です。僕たちは屋上庭園付き住宅「プラスワンリビングハウス」も手がけていて、そちらはいま、延べ300棟。おかげさまで受注は伸びていて、いま屋上のみは月150棟、住宅は月50棟です。

【田原】住宅のほうにもイノベーションはあるの?

【岡崎】住宅も屋上庭園と同じ手法でコストダウンしています。普通なら買うと2500万~3000万円くらいする家を、1500万円で売っています。