資本主義経済の中心にある米国で、若年層に変化が起きている。調査会社大手ギャラップによると、18~34歳の57%が社会主義に好意的だという。11月3日の中間選挙を前に、米国の若者にどんな変化が起きているのか。日本工業大学大学院技術経営研究科の田中道昭教授は「人は自由を捨てたいのではない。自由を使える条件を求めているのだ」と指摘する。新著『古典で読み解く!10年後の未来 何が世界を動かしているのか』(朝日新聞出版)より、一部を再編集してお届けする――。(第2回)
トランプ米大統領=2026年10月3日、オハイオ州
写真=ゲッティ/共同通信社
トランプ米大統領=2026年10月3日、オハイオ州

中間選挙で社会主義への期待は誰の票になるのか

11月3日の米国中間選挙まで、あと1カ月。社会主義への期待が高まることは、民主党に有利に働くのだろうか。トランプ大統領は、その期待を逆に共和党への支持に変えようとしている。

ギャラップが9月23日に公表した調査では、18~34歳の米国人の57%が社会主義に好意的で、資本主義への好意は43%だった。下院全435議席と上院のおよそ3分の1が改選される今回の選挙は、トランプ政権の後半2年を左右する。資本主義の中心にある国で、なぜ若者は社会主義に期待し、その期待は誰の票になるのか。

私は新著『古典で読み解く!10年後の未来 何が世界を動かしているのか』(朝日新聞出版)第3章で、プラトンとトクヴィルから民主主義を揺さぶる構造を詳解した。今回の中間選挙も、その視点から見ると違う姿が現れる。

家を初めて買う年齢は40歳になった

まず、若者が経験している経済を見よう。米国で初めて住宅を買う人の年齢中央値は40歳になった。全米リアルター協会(NAR)の2025年調査による数字だ。1980年代には20代後半だった。

田中道昭『古典で読み解く!10年後の未来 何が世界を動かしているのか』(朝日新聞出版)
田中道昭『古典で読み解く!10年後の未来 何が世界を動かしているのか』(朝日新聞出版)

40歳まで待てば、家を買えるのか。そうではない。この40歳は、実際に買えた人たちの中央値である。購入を見送った人や、頭金を用意できなかった人の年齢は入っていない。しかも、買い手全体に占める初回購入者は21%。1981年に始まった同調査で最も低く、2008年より前の約4割から大きく下がっている。

住宅の数字だけで、社会主義への好意の原因を特定することはできない。しかし、すでに家を持つ人が資産の値上がりを喜ぶとき、これから買う人には、その値上がりが人生の計画を遠ざける。同じ経済の中で、生活の基盤を築こうとする人が何を経験しているか。そこから、政治への期待を考える必要がある。