支持を広げ投票しない人も動かせるか

この勢いは、11月の勝利になるのか。ミシガンは、その問いを考える具体的な舞台だ。

エルサイード氏が本選で争うのは、共和党のマイク・ロジャース氏。民主党のピーターズ上院議員の引退に伴う議席であり、民主党が上院の多数派を目指すうえで守りたい議席である。対立候補を推していたウィットマー知事も、予備選の勝者全員への祝意とともに、11月に向けた支持を表明した。ただし、党内の支持をまとめることと、州全体の有権者を引きつけることは別の課題である。

私はここで、得票を増やす2つの経路に注目している。一つは、無党派層や穏健な有権者に政策の現実性を伝え、支持を広げること。もう一つは、これまで投票に行かなかった人に、今回は自分の生活が変わるかもしれないと思ってもらい、参加を増やすことだ。

政策を穏当なものにすれば、必ず勝ちやすくなるのだろうか。警戒する有権者を安心させる代わりに、変化を待っている有権者が投票所に来なくなるかもしれない。逆に、大きな変革は新しい参加を生むと同時に、無党派層を遠ざける可能性もある。候補者は、何を言えば票を失うかだけでなく、何を言わなければ投票してもらえないかも考えなければならない。

左派と中道派がこの2つを完全に分業しているわけではない。エルサイード氏にも両方が必要だ。11月に見るべきなのは、熱心な支持者の声の大きさに加え、新しい参加と、異なる立場への支持拡大をどこまで生み出せたかである。

家賃の話をしていたはずが国家の危機になる

トランプ氏は、この左派の伸長に対し、何を危険と感じるかをめぐる戦いを仕掛けている。

ニューヨークの予備選から3日後の6月26日、宗教保守派の会合で左派候補らを「冷酷な共産主義者」と呼び、あらゆる宗教、とりわけキリスト教を攻撃するだろうと主張した。さらに、建国以来の最大の脅威だと訴えた。

宗教を攻撃するというのは、大統領による非難である。候補らの計画として確認された事実ではない。だが、その発言が選挙で果たす働きは明確だ。

医療費をどう下げるか、家賃の負担をどう軽くするかという議論が、信仰や米国の体制を守るかどうかという議論に変わる。生活の改善を訴える候補が、まず自分は危険な人物ではないと説明しなければならなくなる。

私は、この争点の転換にトランプ氏の攻撃の要点を見る。政策の細部を一つずつ争う前に、相手をどの種類の政治家として受け止めさせるかで、選挙の土俵を動かしているのである。

ドナルド・トランプ氏の選挙集会でプラカードを掲げる支持者
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