売り上げ120%、候補立地5倍

このようにすかいらーくにとっては大きなメリットがあったM&A。では、しんぱち側はどのような恩恵を受けるのか。

すかいらーくから出向し、しんぱちの取締役を務める早川順一郎氏
撮影=プレジデントオンライン編集部
すかいらーくから出向し、しんぱちの取締役を務める早川順一郎氏

まずは集客力だ。もともとあまり宣伝をしていなかったこともあり、M&A後は注目度と認知度が高まって、来店客数の前年比が大きく伸びた。業績も2026年8月の売り上げが前年比約120%とアップしている。

また出店に欠かせない物件開発力も大きなメリットだ。すでに2027年に出店する30店舗の立地が決まっている。早川氏によると、候補立地の数はM&A前の5倍になっているという。

しんぱち食堂の「尖り」は変えない

この勢いで、2030年に300店舗を目指す。

そのほか、全世界にわたる食材の仕入れ先やセントラルキッチンを共有し、容器やお手拭きといった部材、デジタルの仕組みを共通化することで、コストダウンを図ることもできる。すかいらーくが蓄積してきた従業員教育のノウハウも、出店の加速に威力を発揮する。

「M&Aで難しいのが異なる企業文化のすり合わせ。互いが尊重し合うのが大切です」(早川氏)
「もともとの強みや特別な魅力を変えてはならないと思っています」(北氏)

しんぱち食堂には、店内のBGMとして虫の音を流しているなど、尖った特徴がある。食事のおいしさに集中できるように、との意図があるようだ。規模が拡大すると個性が薄まってしまうのはありがちだが、ブランドの魅力を変えることなく、多くの人にとって身近な存在へと成長することを期待したい。

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