食品の値上げが止まらない。その中でも低価格を維持しているのがもやしとカット野菜だ。「庶民の味方」の裏にはどんな企業努力があるのか。ノンフィクションライターの窪田順生さんが生産現場を取材した――。
スーパーマーケットの野菜売り場
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もやしもカット野菜も安すぎる?

鍋物が美味しい季節になってきた。

ただ、全国的な長雨の影響で、白菜やキャベツなど葉物野菜の価格が上がっている。しかも、毎日自炊するという大家族でなければ、これらの野菜を丸々買ったところで、なかなか消費ができずに悪くしてしまうことも少なくないだろう。

そういう時に重宝されているのが「カット野菜」だ。

鍋用やサラダ用という用途に合わせていろんな野菜が詰められているので無駄がないし、最近は洗わずにすぐ使えるものも多い。少し前まではカット野菜は「割高」ととらえる人も多かったが、「包丁キャンセル」界隈などの人々からすれば「コスパのいい野菜」になってきている。

一方、「安い野菜」となると、忘れてはいけないのは「もやし」だろう。スーパーでは30〜40円、店によっては19円などで売られている。食費を抑えたい人にとっては、これほど頼もしい「物価の優等生」はそういない。

しかし、ちょっと冷静になっていただきたい。よくよく落ち着いて考えみると、もやしにしろ、カット野菜にしろ、いくらなんでも「安すぎ」ではないだろうか。

1日50万パックを生産する巨大工場へ

昨今の物価高騰を受けて、両者とも多少は値上がりしているとはいえ、108円が118円になったとか、29円が39円になったというレベルだ。豆から生産したり、野菜を仕入れたりして、それを切って洗って袋詰めにして、さらにそれをスーパーへ輸送をするという手間のかかる作業を考えたら、もうちょっと高くなっていてもおかしくないではないか。

「そこはホラ、企業努力ってやつでしょ」というザックリした話で片付けられてしまいがちなこの謎を解き明かすには、実際にカット野菜やもやしを生産している現場をのぞいてみるしかない。

そこで筆者がお邪魔したのは、茨城県水戸市に本社を構える「旭物産」の小美玉工場。約5万平方メートルという東京ドームとほぼ同じ広さの敷地にあるこの工場は、もやしは1日60トン、カット野菜は1日50万パックの生産能力を誇っている。