洗浄→袋詰めの製造ラインで1億円以上

このような厳しいチェックを経たもやしは、全自動で150グラムに仕分けられ、最終的に異物がないか確認されたうえで、機械で袋詰めされる。そして、消費期限などを印字するのも機械。最終的に確認して箱に詰めているのは人間だったが、出荷に関してはほとんどFA化がされている。かなり思い切った設備投資だ。

旭物産の創業者である林正二会長にどれほどの費用がかかっているのか質問したところ、こんな答えが返ってきた。

「詳しくは申し上げられませんが、かなり高額です。検品のカメラだけでもひとつ3千万円くらいですので、洗浄して袋詰めをするラインすべてで1億円以上はかかっていますね」

カット野菜は手作業のほうが合理的

ただ、続いて「カット野菜」を製造しているエリアに足を踏み入れてみて、ちょっと頭が混乱をした。

もやし工場と真逆で、こちらには巨大な機械はほとんどなく、ベルトコンベアの脇に衛生白衣に身を包んだ作業員がたくさんいて手作業で野菜のカット、洗浄、そして袋詰めなどを行なっていたからだ。

白菜を丁寧にカットしていく外国人女性
筆者撮影
白菜を丁寧にカットしていく外国人女性。製造ライン内には他にも外国人労働者が多く働いていた

カット野菜も「薄利多売」という構造は同じはずなので、てっきり、もやし同様に機械化が進んでいるかと思っていたが、そうなっていないのはなぜなのか。

「こちらが手作業が多いのは、さまざまな状況に対応できるからです。例えば今は鍋物の季節なので、白菜やニンジン、ちんげん菜などをセットにして詰めています。機械だとこういう変化に柔軟に対応できません」

また、手作業ラインのほうが昨今の物価高騰にも対応しやすい面もあるという。例えば今、白菜やキャベツなど葉物野菜が高騰しているように、カット野菜は原料価格の乱高下が激しい。しかし、消費者は値上げにシビアなので、スーパー側からはどうにか価格据え置きでやってほしいというオーダーもある。そんな時、手作業ならば高い野菜の割合を少し少なくしたり柔軟に対応をできるのだ。

「結局、もやしのような設備投資をしても採算が取れないんですよ。うちには熟練の職人のような人もいるので品質には間違いはありません」

カット野菜の洗浄工程
筆者撮影
野菜の洗浄には水道水の殺菌などに用いられている「次亜塩素酸ナトリウム」が使われているほか、旭物産独自の「機能水」というものも使われている