世界を揺るがした「PHPショック」

足元の米国株式市場で、これまで相場を牽引してきたAI(人工知能)関連株が大きく売られた。そのきっかけの一つが、コアウィーブなど一部データセンター企業の信用不安の高まりだ。

株式市場の暴落
写真=iStock.com/primeimages
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その後、世界のウェブサイトの約7割が使うプログラム言語の「PHP」に深刻な脆弱性が見つかった。その影響は、広い範囲に広がり事態は深刻化した。

プログラム言語の脆弱性により、世界の大手企業の多くはサービスの一時停止に追い込まれた。AIに関する先行き不透明感は高まり、関連企業の株式売り圧力は高まった。言ってみれば、「PHPショック」が世界経済に多くのマイナスをもたらしたことになる。大手機関投資家の一部は、「PHPショック」をきっかけに、AIによるサイバー攻撃の急増を危惧し始めた。

中東情勢の混迷などによるインフレ懸念も払拭できない。それに伴い、これから世界的に金利も上昇しそうだ。すでに信用不安が高まりつつある「ネオ・クラウド」と呼ばれる新興AI関連企業の経営破綻が増える恐れもある。AI関連銘柄がほぼすべて上昇した「AIバブル」の終焉は徐々に近づいている。

10月、株式相場の潮目が変わった

「AIバブル」が膨張する中、日本国内では新NISAの拡充も背景に、積極的にリスクをとって資金運用を行う個人投資家が増えた。中には、生活費を切り詰めて、NISAの年間投資枠計360万円を埋めようとする人もいるほどだ。

生成AIへの関心が世界的に高まる大きな契機となったのが、2022年11月末、米オープンAIが発表した「チャットGPT」だ。日本でも、NISA口座でAI関連銘柄の組み入れが多い上場投信(ETF)を買う人が増えた。

資金を借り入れて、国内外のAI関連銘柄を買う個人投資家もいたようだ。過去を振り返ると、バブルが発生し膨張する局面で、資金を借り入れ自己資金以上の投資(投機)を行い、多額の利益を狙った投資家(個人、機関投資家)は多かった。

今回の「AIバブル」でも、強気心理が世界の株式市場を覆った。今年の夏場以降、世界的に長期金利が上昇したにもかかわらず、AI銘柄中心に世界的に株価は上昇した。

しかし、上昇相場は永久には続かない。10月8日、相場の潮目が変わった。きっかけは、オープンAIの年換算売上高が従来伝えられていた水準を約200億ドル下回るという報道だった。

オープンAIの本社があるオフィスビル
オープンAIの本社があるオフィスビル(写真=Coolcaesar/CC-BY-4.0/Wikimedia Commons)