アメリカのAI業界は逆風続き

その影響は、金利上昇で財務悪化懸念が高まった新興の米データセンター運営企業に及んだ。具体的には、米国の新興AIクラウド企業「コアウィーブ」の信用不安を指摘する見方が出た。

10月21日には、大手IT先端企業であるメタ(旧フェイスブック)の財務懸念も高まった。同社は、AI関連の設備投資見通しを引き上げ、AIエージェント「Muse(ミューズ)」についても、従来の新製品より提供コストが高いことを明らかにした。

相場が堅調に推移していた夏場ごろまでなら、投資家は、設備投資の積み増しを高成長実現の条件とみたかもしれない。しかし、現在は金利上昇の影響もあり、一部の投資家は慎重姿勢を取り始めた。

そして、それに追い打ちをかけたのがPHPショックだ。

「PHP」の文字が表示されたスクリーン
写真=iStock.com/Funtap
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国内外で公式サイトが止まった日

PHPは、プログラミング言語としてHTMLに直接書き込め、オープンソースであることが高く評価され、サーバー側のプログラミング言語が判明している世界のサイトの69%で使われている(10月27日時点)。今回、世界標準のプログラミング言語の脆弱性を、AIが発見した衝撃は大きかった。

21日に、PHPの修正版が公開されたが、政府機関や金融、通販、交通の業種などでサイトの一時停止が相次ぎ、各国政府が緊急対応を呼びかけた。日本では、銀行や通信などの大手企業が、システムの安全性検証のため一部サービスを停止した。それに伴って、先行き不透明感は高まり関連株が売られた。

AI銘柄のほとんどすべてが上がる「AIバブル」の崩壊は徐々に近づいていると見たほうがよいだろう。最近、米中のAI戦争と呼ばれるAIモデルの開発競争は激化している。中国では安価かつ高性能なAIの開発が加速し、アンソロピックやオープンAI、グーグル、メタなど、先行する米国AI企業の収益性が低下する懸念は高まっている。中国勢の急速な追い上げは、AI企業の成長期待を挫く恐れが高い。