従業員850人もいるはずだが…

ちなみに旭物産は1971年にもやし生産で創業、78年にはカット野菜製造を開始したこの分野のパイオニア的な存在。首都圏の大手チェーンのスーパーを中心に、もやし、カット野菜、刺身のツマなどを納入して、2025年には売上180億円を突破。従業員は850名にも及ぶ。

頭の先から足元まで食品工場用の衛生白衣に身を包んだ筆者が、手洗い、消毒、エアシャワー、粘着ローラーでの埃の除去などを経て最初に足を踏み入れたのは、もやし生産エリア。そこで驚いたのは「人がほとんどいない」ということだ。

巨大な産業用機器が所狭しと並び、大量のもやしがベルトコンベアで運ばれて、次々と全自動で袋詰めされていくという、いわゆる「ファクトリー・オートメーション化」(FA化)がかなり進んでいて、人間はそれらの機器の横で、正しく動作を確認しているくらいなのだ。

そんな人影もまばらなもやし工場の中でも一際、静まり返っているのが「育成室」。文字通り、もやしを育てているエリアだ。

もやしを栽培する「室」の内部
筆者撮影
もやしを栽培する「室」の内部。温度も水やりのペースはすべてコンピューターで制御されている

繊細な植物ゆえの厳戒態勢

巨大な扉には「関係者以外立入禁止」の看板が掲げられ、入口には靴を殺菌するための消毒液が入ったトレーが置かれている。

「もやしというのは非常に菌に弱い繊細な植物なので、育成室には栽培担当者と、収穫をする作業員以外の人はほとんど入りません。小美玉工場の中で最も神経を使っているエリアですね」(旭物産の製造担当者)

では、そんなセンシティブな環境下で、もやしはどのように育てられているのか。

我々が最も手に取る機会の多い「緑豆もやし」を例に紹介していこう。

まず、ミャンマーやマダカスカルから輸入した緑豆を巨大な装置で殺菌洗浄。乾燥させた緑豆は100キロごとにコンテナに入れて吸水をさせる。そこで全体が膨らんで割れてきたら水を抜き、今度は「育成タンク」と呼ばれる容器へと移し替え、「室むろ」と呼ばれる暗室に入れて、温度管理をしながら水をやると発芽して、およそ10日で我々がよく知っている、もやしの姿になる。

注目すべきは、この育成プロセスもかなり「省人化」が進んでいるということだ。