寒波で大混乱のEV充電スタンド
充電器は10基あるが、使えるのはわずか1基。5基は故障して動かず、4基の前には無人の車が居座っている。
2024年1月、寒波に見舞われたアメリカ・シカゴ近郊の、テスラの急速充電スタンド。米公共ラジオ放送局のNPRによると、シカゴでは気温が華氏0度(摂氏約マイナス18度)を下回る状態が35時間ほど続いた。「動かないロボットだらけだ」。あるオーナーは、地元局の取材にそう嘆く。
充電待ちの列に並んだテスラのオーナー、ブランドン・ウェルボーン氏は、米ケーブルニュース局のFOXニュースの番組で、寒さでバッテリーの減りがいつもより早かったと語った。いつもならバッテリーの40〜45%しか消費しない通勤で、最大1.6倍に当たる65%を使ったという。仕事着のまま凍えながら、充電スタンドに何時間も並んで待ち続けたが、順番はやってこない。ついにはレッカー車の救援を呼ぶことになった。
EVに乗りたい気持ちはあるが、不便な充電に振り回されるのは避けたい。あるいは、2025年9月に連邦政府の税優遇が打ち切られ、割高になったEVを選び続ける理由は薄れた――。そう考えてテスラを降り、ハイブリッド車に移るオーナーが増えている。テスラからの乗り換え組を最も多く迎え入れたのが、トヨタだった。かつてはEVに慎重すぎると、株主から批判されたメーカーである。
テスラからの乗り換え先、トヨタが首位
米自動車情報サイトのエドマンズの分析では、テスラを下取りに出して乗り換えた先のブランド別シェアで、トヨタは2021年4〜6月期の7位(6.9%)から、26年の同期には首位(17.3%)に躍り出た。乗り換え先にもEVを選ぶ人の割合は、26年4〜6月期はわずか22%。前年同期の40.2%から急減した。連邦政府のEV税優遇が打ち切られ、EVの割高感が強まったことも響いている。ハイブリッド車を選ぶ人の割合は、逆に伸びている。21年の5.4%から、過去最高の20.5%に達した。
ただし、この集計の対象は、テスラ以外のメーカーの販売店で下取りに出した人に限られる。米レクシスネクシスの調査では、次もテスラを選ぶ人の割合は55.9%。業界平均の51.4%をなお上回っており、惚れ込むオーナーは少なくない。一方で、充電待ちの長さ、災害耐性の弱さに、イーロン・マスクCEOの政治的言動を嫌う動きが重なり、テスラを避けたい心理も根強い。
エドマンズの調査部門を率いるジェシカ・コールドウェル氏は、トヨタが最大の受け皿になったとしたうえで、乗り換え組ではハイブリッドが最も伸びていると指摘する。豊田章男会長が批判を浴びても手放さなかったハイブリッド車の布陣が、こうして受け皿の一つになった。
中でも人気が過熱しているのが、クロスオーバーSUVの「RAV4」。初登場の1994年から息の長い人気を誇る。RAV4の2025年の米国販売台数は、ガソリン車を含め47万9288台に達した。米自動車サービス企業のコックス・オートモーティブの推計では、テスラの「モデルY」は約35万7000台にとどまり、RAV4はこれを12万台以上上回る。
そのRAV4は、2026年型からガソリン車の設定がなくなり、ハイブリッドとプラグインハイブリッド(PHV)だけになった。PHVの一部グレードは、電気だけでも最大54マイル(約87キロ)の航続距離を確保している。さらに、満充電とガソリン満タンで、合わせて500マイル(約800キロ)近くを走破可能だ。

