ハイブリッドを後押しするガソリン高

テスラの持ち主がトヨタへ乗り換えるようになった背景は、ほかにもある。

一つは、テスラの購買層が変わったことだ。いまのテスラは、大衆向けのモデル3とモデルYが販売の大半を占める。高級車のモデルSとモデルXは近年、両車に販売数で大きく水をあけられており、同社は26年1月、モデルSとモデルXの生産を終えると発表した。エドマンズのアイバン・ドルーリー氏は、これでテスラが名実ともに高級ブランドではなくなったとみる。

かつては、テスラを下取りに出した人の3人に1人以上がドイツの高級車に乗り換えた。いま、その割合は7人に1人ほどにとどまる。代わっていちばんの受け皿になったのが、トヨタだ。「テスラの買い手も、製品と同じく大衆化した」と同氏は言う。

もう一つの背景は、市場全体でEVの販売が落ち込み、ハイブリッド車に客が流れていることだ。コックス・オートモーティブの集計では、26年4〜6月期のEV販売台数は前年同期比20.5%減。新車販売に占める割合は5.8%で、税優遇が終わる前の駆け込み需要で過去最高の10.6%に達した25年7〜9月期から、ほぼ半減した。

一方で同社によると、新車市場全体が縮小する見込みのなか、ハイブリッド車の販売は26年1〜6月期に前年同期を約9%上回る見通しだという。その追い風になっているのが、高止まりするガソリン価格だ。EVほど思い切った選択はしづらいが、ガソリン車よりも燃費の良い車に乗り換えたい――。ハイブリッドは、そんなオーナーたちに選ばれている。

1店舗だけで800人超が順番待ち

ラインナップをハイブリッドとPHVに絞った新型RAV4には、買い手が殺到した。米自動車メディアのカー・スクープスなどによると、カリフォルニア州の販売店ロンゴ・トヨタは26年5月に200台超を納車したが、6月の時点で同店だけでなお800人超が順番を待っていた。需要は旺盛で、「在庫は日数ではなく時間で数えている」と、トヨタブランドの販売を率いるダモン・ローズ氏は業界紙に語った。

新型RAV4(ハイブリッド)
新型RAV4(ハイブリッド)(写真=Husskeyy/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons)

初夏には在庫が数時間分しかなかったRAV4。その品不足は、夏が過ぎても解消していない。それでも客は、トヨタの車が届く日を待ち続ける。

アメリカ東部コネチカット州ミルフォードの販売店、コロニアル・トヨタでは、車を並べる敷地の3分の2ほどが空いたままになっている。オーナーのボビー・クラブトリー氏は米CNBCの取材に、あと250台は置けると話す。本来なら、そこにはもっと多くのRAV4が並んでいるはずだった。

品不足を招いた原因の一つに、トヨタ自身の事情がある。米自動車情報サイトのケリー・ブルー・ブックは、トヨタが新型への切り替えに伴う工場の改修で、日本やカナダ、そしてケンタッキー州の工場の生産数を縮小したと報じている。その上で旧型をできるだけ売り切るため、新型の生産開始をあえて遅らせたという。カー・スクープスは、トヨタが今年、RAV4を数万台も売り損ねたと指摘する。