男性も40歳を超えると更年期障害になり得る。だが、女性に比べて不調を自覚して病院に行く人は少ない。産婦人科医の宋美玄さんは「男性更年期障害の症状の中には、うつや無気力といったメンタル不調も含まれる。休職・退職につながるケースすらあり、注意が必要だ」という――。

※本稿は、宋 美玄『夫婦で知っておきたい「更年期」のトリセツ』(ハヤカワ新書)の一部を再編集したものです。

額に手を当てて悩むスーツの男性
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平均寿命が伸びて更年期に注目が集まるように

日本ではここ数十年、平均寿命が大幅に延びました。昭和20年代前半の平均寿命は50代前半でした。当時は更年期を迎えても程なく寿命を迎え、更年期に伴う不調に気付かずじまいの人が多かったと推測されます。

しかし寿命が延びたことで、更年期に伴う不調を自覚する人が増加し、それに伴い更年期にも注目が集まるように。がんも同様で、昔はがんになる前に寿命を迎えていましたが、寿命が延びたことでがんに罹患する人が増えました。

現在、日本の最後の人口ボリュームゾーンである就職氷河期世代が一斉に更年期世代になりました。男性更年期は他人事ではありませんし、男性更年期当事者は今やマイノリティではありません。

医師も「更年期では?」と思い至らない

にもかかわらず、男性更年期は女性の更年期に比べ気付かれにくく、気付いたとしても受診に繋がりにくい、という現状があります。一体なぜなのでしょう? その理由を私なりに分析してみました。

(1)そもそも「男性に更年期がある」と知らず「この不調は更年期なのでは?」という発想に至らないこと。

男性更年期について取り上げるメディアが徐々に増えているとはいえ、女性の更年期に比べたらまだまだ浸透していません。男性が更年期由来の不定愁訴で病院を受診しても、男性更年期障害と診断されないケースも少なくありません。

患者だけでなく医師も「不調の原因=男性更年期障害」という発想に至らず、別の病気と誤診され治療が進められるものの当然不調はなかなか解消せず、転々と病院を渡り歩くドクターショッピングを経てやっと男性更年期障害が特定されるのはまだマシな方。過去には男性更年期とわからずじまいで「謎の不調」を抱えたまま、一生を終える男性も少なくなかったのではないでしょうか。