ずらりと並ぶ数値や記号のうち、あなたがまず気にするべきなのはどれか? 結果票を正しく読むのは、実は難しい。総合診療医の伊藤氏は、「大事なことは3つある」と説く――。

判定欄だけを見て安心してはいけない

健康診断の結果票に、「C」と「D」の項目があったとします。多くの人は、Dのほうが深刻だと考えるでしょう。しかし実際には、Cのほうが危ないケースもあります。

結果票のABCDの判定は、検査ごとの基準値や判定基準に沿ってほぼ自動的に決められています。しかし、それぞれの異常が将来の健康に与える影響の大きさまで十分に伝えられているとは限りません。正直に言って、今の結果票はかなり不親切なつくりです。

不親切なのはそれだけではありません。互いに関連する項目が、結果票の離れた場所にバラバラに印字されています。たとえば血小板数は貧血検査と同じ欄にありますが、実は肝臓の状態を知るうえで欠かせない数値です。尿糖は尿検査の欄にありますが、本来は血糖値などと一緒に見るべきものです。

このように、結果の「伝え方」には問題があるものの、健康診断を受ければ有意義なデータが得られること自体は間違いありません。判定欄のアルファベットだけを見て結果票を捨ててしまうのは、あまりにもったいない。読み方さえ知っていれば、結果票は自分の体の「現在地」と「将来の見通し」を教えてくれる貴重な資料になります。

そこで、私が多くの患者さんと向き合う中で見つけた、「健診結果を自分で正しく読解する方法」をお伝えしましょう。次の3つが最も大切です。

①自分の結果を「ピラミッド」にあてはめる
②「レベル」と「スピード」に分けて考える
③生活習慣で改善できるのは「スピード」だけ

では、順番に説明していきましょう。

改善できる数値、できない数値の見分け方

結果票にはたくさんの項目が並んでいますが、「どの項目に異常があればより深刻なのか」はハッキリと書かれていません。そこで深刻さの度合い別に、項目を整理してピラミッドで表したのが下の図です(ここでは生活習慣病に関わる主な項目だけに絞って載せました)。この図の中に自分の結果を位置づければ、おおよその現在地がわかります。これが、結果票を受け取ったとき真っ先にやるべきことです。いちばん下の段から順に見ていきましょう。

第1段階が血圧、血糖値、尿酸値、LDLコレステロール、中性脂肪などです。これらが上がり始めた段階で適切に対処し、なるべく基準値内に収まるようコントロールすることが健康診断の目的です。この段階での異常を放置してしまうと、かなりの確率で第2段階に進みます。

第2段階にあるのは、肝機能、腎機能、眼底検査、心電図などです。これらの項目で異常があるということは実際に臓器に影響が及んでいることを表しますが、生活習慣を見直して進行を止めるチャンスはまだあります(ただし、医療機関の受診は必須です)。

(構成=長山清子 撮影=大崎えりや イラストレーション=ヨツモトユキ)