売上2310億円を、3つの四半期に並べ直す
ファナックで、実際に計算してみよう。会社の決算説明会資料に掲載された億円単位の数字では、売上高は2025年10~12月の2157億円から、2026年1~3月に2345億円、4~6月に2310億円と推移している。
「現在地」は2310億円。「速度」を四半期ごとの増減額で見ると、最初の区間は2345-2157=188億円の増加、次の区間は2310-2345=35億円の減少となる。そして「加速度」に当たる増減額の変化は、マイナス35-188=マイナス223億円だ。ここでは1四半期を1単位として、離れた時点の数字から変化を近似している。
率で表すなら、前四半期比は約8.7%増から約1.5%減へ、約10.2ポイント低下した。金額の変化と成長率の変化は異なる物差しなので、区別して使う。前年より売れていることと、直前の四半期より勢いが弱いことは、同時に起きる。
受注は増え、納期は延びている
この計算だけで株価下落の原因を証明できるわけではない。季節性、為替、出荷時期でも数字は動く。だからこそ、次に会社が何を説明しているかを読む。ファナックの7月31日の決算説明会の質疑応答には、需要の強さと供給の制約が並んでいる。
会社によると、中国を中心にFAの受注は増えている。ところが、電子部品や機械部品の調達が難しく、納期が延び、一部の顧客は他社製品を採用している。納期の長期化を見越して早めに発注する動きもあるという。受注増がそのまま最終需要の加速を示すとは限らない。受注残が開示されていれば、その増減も売上や納期と併せて確かめたい。受注残の積み上がりには、需要が強い場合と、出荷が滞っている場合があるからだ。
ここには、短期の問題が中期へ波及する経路がある。部品不足で納入が遅れ、顧客が別のメーカーを試し、使い勝手や保守体制に満足すれば、その次の発注も移るかもしれない。失う可能性があるのは、その四半期の売上に加えて、将来の取引の積み重なりだ。これは決算数字と会社説明から導く私の分析であり、顧客移転が恒久化したと確認されたわけではない。

