AIの次は「ヒト型ロボット」で主導権
ここへ来て、中国のロボット産業の成長が急加速している。8月19日、中国のロボット新興企業の宇樹科技(ユニツリー・ロボティクス)は、上海証券取引所のハイテク新興企業向けの「科創板」市場に新規上場(IPO)した。ヒト型ロボット企業としては中国本土初の上場で、今後の同社の業績が注目される。
中国のロボット産業の急成長の背景には、習近平政権の産業・経済政策がある。習氏はAIに加え、ヒューマノイド分野でも世界の開発戦争を圧倒し、同部門での主導権を手にしようとしているのだろう。10年以上前から、習氏はその考えを世界に示してきた。
今年7月の世界AI大会で、習氏は「中国製AIの利用で世界経済の成長を支える」との考え(向上向善)を示した。8月、世界ロボット大会で、中国はAIに関する方針はヒト型ロボットなどにも当てはまると明確にした。
規制や禁輸でも止められない競争力
ロボットには、四足歩行型や産業用のロボットアームなど多種多様なタイプがある。その中で中国がヒューマノイドを重視するのは、既存の社会インフラが、人間が持つ様々な機能を前提にしているからだろう。中国は、私たちと同じように動く汎用型の機械を生み出し、世界の関連需要を一手に取り込むことを目論んでいるようだ。
ヒト型ロボットをはじめ、フィジカルAI分野での中国の成長は急速だ。米国が規制や禁輸で中国勢を食い止めようとしても、その効果は限定的になるだろう。それは、中国AIや半導体産業の成長加速からも見て取れる。米IT先端企業のトップからも、「現在、中国ロボット産業の競争力は世界トップ」との指摘が増えた。
わが国が、中国のロボット産業に、どう対応するか考える必要性が高まっている。政府は関連政策の成長を加速するため、人材の育成や資金支援などを行うことが重要だ。また、主要企業のリスクテイクをサポートすべきだ。そうした対応が遅れると、ロボット分野でも日本が取り残される恐れは高まる。

