「世界シェア1位」でも信頼できるか
8月19日にIPOを果たしたユニツリーは、世界のトップメーカーである中国のアジボット(智元機器人、シェア39%程度)に次ぐ企業だ。ヒト型ロボット市場における2社の世界シェアは7割超といわれている。
残り約3割のシェアをUBテック、米国のテスラやフィギュアAIが争う。ヒト型をはじめ、世界のロボット市場で、中国はトップの座を固めつつある。今年3月、エヌビディアのフアンCEOは、「米国はロボット産業を実質的に発明したが、AIという頭脳の実用化よりも前に疲弊した」と述べた。
問題は、中国のAIを頭脳にしたロボットを、どれだけ他の国が信頼するかだ。データ主権の問題などを考えると、中国のロボット産業が、本当の意味で世界を席巻し続けることは難しいだろう。一時的にそうした状況が出現したとしても、いずれ様々な問題が起きることが想定される。
懸念の一つは、中国の過剰生産能力だ。産業補助金などの獲得と、地方政府の経済成長目標達成が掛け合わさることで、習近平政権が重視する分野では急速に生産能力が高まる。EVの墓場が出現したように、ヒト型ロボット分野でも同様のことが起きる可能性は高い。過剰になったロボットは低価格で海外市場に流出し、新たな貿易摩擦・貿易戦争の火種になる。
「習近平の野望」を食い止めるには
日本政府は、半導体とロボット産業を戦略分野に位置付ける。その方針に基づいて、今後、政権が代わっても支援強化の流れを変えないことだ。その上で、多国間連携を目指す。米韓などと、センサーや駆動装置などのサプライチェーンを構築する。ロボットに搭載するAIはオープンソースで開発し、各国の法規制やデータ主権への対応を万全にするのが現実的な方策になるだろう。
実証実験では、安全性と責任の所在を明確にする必要がある。いずれも、多国間でのルール形成が欠かせない。一連の取り組みを迅速に進め、賛同する国への支援も強化する。そうした取り組みが進めば、わが国がヒト型ロボット分野などでの覇権を狙う中国を食い止めることは可能だろう。
こうした議論を交わしている間にも、中国のロボット産業の成長は加速し、値下げも激化するだろう。AIの成長によって、世界は過去に経験したことがないスピードと規模感で変化している。日本のロボット産業が国際競争力を維持するためには、政府、民間企業経営者のより迅速な意思決定が必須の条件となる。それができないと、習近平の野望を食い止めることは難しい。
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