沖縄県知事選挙で起きているSNS上の「戦争」
9月13日に投開票される沖縄県知事選で、SNSを舞台とする「認知戦」が激しさを増している。
沖縄タイムスが8月の知事選関連のX投稿を分析したところ、発信地は約9割が県外と推定され、「自民党」への言及や、玉城デニー知事を「極左」とする投稿が目立ったという。もちろん、県外からの投稿が多いこと自体は、組織的な工作の証拠にはならない。ただ、沖縄県民が知事を選ぶ選挙で、県外から流れ込む言説がSNS上の議論を大きく形作っていることは確かだ。
さらに8月末には、玉城氏が米軍基地の完全撤去を求め、その理由を中国の意向と結びつけているかのように語る、4分余りのショート動画が拡散した。
Xで約2万7000件、Instagramで約2万2000件の「いいね」を集めたが、沖縄タイムスが検証したところ、玉城氏は米軍基地の完全撤去を求めておらず、名護市の安和桟橋で起きた事故を「辺野古で起きた」と紹介するなど、複数の事実誤認が含まれていた。
県がガードレールの設置を「抗議活動がやりにくくなるから」拒否したとの説明にも事実はなく、事故をめぐって玉城氏が笑ったかのように見せた映像も、事故とは無関係なやり取りを切り取ったものだった。同紙は、事実と誤りが混在する動画全体を「不正確」と判定している。
認知戦と闘わないという選択肢
こうした情報が拡散すると、SNS上では、人々がそれぞれ異なる答えを出していく。内容を事実だと信じ切る人もいれば、検証によって誤りを指摘する人もいる。さらには、投稿の背後に敵対勢力や外国による工作があると断定する者も現れる。答えはまるで異なるが、いずれも流通する物語の正体を突き止めようとしている。
しかし、本当に私たちは、SNS上で増殖する物語の全体像を見極められるのだろうか。
個々の事実は検証するとしても、物語の真相や黒幕まで見極めようとすることをやめるという選択肢はないのだろうか。私は認知戦に対し「闘わない」という選択を提案したい。

