「売る側に成長する」12年前の宣言

習近平氏は、早い段階からヒト型ロボット産業を重視した。その根底には、デジタル化の加速、人手不足の深刻化などの世界経済の変化により、ロボット需要は加速度的に増加するとの見通しがあったのだろう。

特に、2014年6月の発言は象徴的だった。習氏は、「ロボット技術水準を引き上げ、世界市場のシェアを可能な限り高めなければならない」と宣言した。当時、世界的なデジタル化の加速により、中国ではアリババやテンセント、バイドゥ、ファーウェイなどのIT先端企業が急成長し始めた。

一方、当時の中国はロボット輸入国だった。習政権は、AI(人工知能)の活用を見据えて人型をはじめとするロボット産業を振興し、ロボットを買う側から売る側に成長するとの決意を示した。

その後の政策推進は急速だ。翌2015年、中国は第1回の「世界ロボット大会」を開催した。開会メッセージで習氏は、ロボットやロボットを活用したスマート製造は中国の重要強化対象であると明確に示した。生産年齢人口(15~64歳)が減少に転じた中、中国はロボットを国家戦略の中核に据え、産業活動だけではなく安全保障面での利用を増やそうとし始めたのだ。

トップの日本を抜き、生産数は約4倍に

その後、中国ロボット産業は急速に生産能力を増強した。2018年、中国のロボット生産台数は約15万台で、わが国の約24万台を下回っていた。当時、自国内で製造した生産台数という基準で、わが国のロボット産業は世界トップだったといわれている。

2020年、中国の生産台数は約24万台に増加し、わが国の19万台を上回った。2023年12月には、産業用、家庭用のヒト型ロボットを主力とする優必選科技(UBテック)が香港市場に上場した。同社は、世界で初めてのヒト型ロボット企業の上場といわれている。

UBテック社の人型ロボット「Alpha 1 PRO」
UBテック社の人型ロボット「Alpha 1 PRO」(写真=Kartverket/CC-BY-2.0/Wikimedia Commons

2025年の実績は中国が約77万台、わが国は約20万台だった。基準は異なるが同年の米国におけるロボット受注台数はおよそ4万台だったようだ。